海底人ノンマルト国連提訴へ 歴史認識の行方 4月1日 毎朝新聞
「ノンマルトの使者事件」で知られる地球先住人類ノンマルトの数少ない生存者が組織する「国際ノンマルト人類復権協議会」(本部:マダガスカル島)は去る3月19日に「地球人類は先住民ノンマルトを海底へ追いやった侵略の歴史を否定し続けている」と国連人権委員会に対し提訴文を送っていたことが明らかになった。
本件に関して国連からは正式な声明は今のところ出されていないが、関係筋からの情報によるとノンマルトたちは「ノンマルトの使者事件」で海底人ノンマルトを全滅へと追いやった地球防衛軍、ウルトラ警備隊およびそれを支援したウルトラセブンの責任の有無を国際世論を使って包囲する狙いがあるという。
地球防衛軍極東支部は以前からノンマルトからの抗議を繰り返し受けていたが「自衛行動であった」との認識を固持して両者の対話は平行線。
今回の報道に当たって地球防衛軍極東支部のタケナカ長官は次のような異例の公式声明を出した。
「ノンマルトと人類の戦闘は歴史的悲劇で大へん遺憾に思う。責任の所在問題についてはノンマルトの攻撃に対して自衛行動を行っただけと認識している。その考えは今後も変わることはない」としている。
事件で重要な役割を果たしたウルトラセブン氏にはM78星雲のスポークスマンを通じて毎朝新聞の記者から取材を申し入れたが、「セブンは現在、宇宙警備に出ており長期不在のため何もお答えすることは出来ない」との回答。
一方、「国際ノンマルト人類復権協議会」の副書記長であるガイロス氏は「ノンマルト虐殺を認めない地球防衛軍とウルトラセブンの責任をあくまでも追及する。我々はいつまでも黙ってはいない」と強硬な姿勢だ。
地球防衛軍とノンマルトの双方の睨みあいの行方は国連の判断に任されることとなったが、国連が関与する事によって「ムー帝国」や「シートピア海底王国」も提訴に出ることはまず避けられないため、その動向が注目されている。
ことば:ノンマルトの使者事件
1968年7月21日に起こった海底人ノンマルトの地上攻撃に伴う紛争事件。ノンマルトは地球先住人を主張しており、失地回復のため地上攻撃を準備。1968年7月21日より海底を航行中の潜水艦の拿捕、怪獣ガイロスを使って船舶を沈没させるなどのテロ攻撃を繰り返した。
事件発生が日本領海内だったために地球防衛軍極東支部のウルトラ警備隊がその鎮圧に当たった。同隊はウルトラセブンの直掩の元、ノンマルトの海底基地を潜水艦ハイドランジャーで先制攻撃し壊滅的損害を与えた。
海底基地破壊後、ハイドランジャーに同乗していたキリヤマ隊長が「これで海底も我々人類のものだ。」と叫ぶ肉声が録音されたボイスレコーダーが近年発見され、同隊のノンマルト海底基地の先制攻撃が妥当であったかどうかが議論となっている。
発:毎朝新聞 東京本社社会部
2023年4月1日
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