永田喜嗣(永田ヨシツグ)

大阪府出身。大阪芸術大学で演劇を学び、愛媛大学でドイツ文学を専攻、大阪府立大学人間社会学研究科博士課程修了。博士(人間科学) 戦争映画研究家、作家、大阪公立大学非常勤講師。

永田喜嗣(永田ヨシツグ)

大阪府出身。大阪芸術大学で演劇を学び、愛媛大学でドイツ文学を専攻、大阪府立大学人間社会学研究科博士課程修了。博士(人間科学) 戦争映画研究家、作家、大阪公立大学非常勤講師。

最近の記事

映画『オッペンハイマー』、または現代のプロメテウス-原子爆弾と戦争責任の行方-

⚫︎映画『オッペンハイマー』、または現代のプロメテウス-原子爆弾と戦争責任の行方- ⚠️ご注意:映画の結末に関する情報を含みます。 この映画についての参考文献などは参照していないので、本稿では映画一本のみの範囲からの解読です。 ご了承よろしくお願いいたします。 『オッペンハイマー』 Oppenheimer 2023年・アメリカ 脚本・監督: クリストファー・ノーラン 出演: キリアン・マーフィー エミリー・ブラント マット・デイモン ロバート・ダウニー・Jr. ⚫︎

    • 戦争映画のはなし:「ウェブリー&スコットで『アラビアのロレンス』を解読せよ!」

      『アラビアのロレンス』 “Lawrence of Arabia” 1962年・イギリス 監督:デヴィッド・リーン 脚本:ロバート・ボルト    マイケル・ウィルソン 出演:ピーター・オトゥール    アレック・ギネス    アンソニー・クイン    オマー・シャリフ 音楽:モーリス・ジャール 【歴史的背景】  1914年、ヨーロッパで始まった第一次世界大戦は中東にまで、その影響が及んだ。ドイツと同盟関係にあったトルコ、オスマン帝国に対してイギリスは、その支配下にあったア

      • ガンバルナー日記★第十回「なんでも疑うイヤなやつになろうぜ! 情報レジスタンスのススメ」

        ガンバルナー日記★第十回「なんでも疑うイヤなやつになろうぜ! 情報レジスタンスのススメ」 2024年10月11日 まあ、現代の人びとって、 ほんといろんなことを知っているわけで インターネットってすごいよなって思うよ ボクが運営してるチャットルームではね 中高生の人たちが多くてね。 そりゃもう、いろいろ知ってるし、 その知識は広いわけよ。 聞いてみると、 やっぱりSNSで情報を得るんだな。 ある子がこんなこと言ってたよ。 Z世代がX世代に比べて、 ジェンダー感覚

        • ガンバルナー日記★第九回「嫌いな仕事を解読せよ!」

          ガンバルナー日記★第九回「嫌いな仕事を解読せよ!」 2024年10月10日 向いてないから 仕事は嫌だなあー なんか毎日、 同じ仕事で嫌だなあー こんなのずっと続けるのかぁ やめたいなあー 勉強はやだよなあー 勉強ってなんのためにするんだろ 嫌だよなあー 学校行きたくないよなあー まあまあ、 それって、わかりすぎるくらい わかるよー‼︎ しかしまあ、 生きてゆくためには 嫌な仕事や勉強も しなきゃならないし 逃げるわけにもいかないんだよなあ。 じゃあ、なんか

          戦争映画のはなし:なぜ、地球防衛軍はミステリアンに勝利するのか? −敗戦と原爆との戦い−

          戦争映画のはなし:なぜ、地球防衛軍はミステリアンに勝利するのか? −敗戦と原爆との戦い−  日本のSF特撮映画について書いてみたいと思うが、今までとはちょっと違った視点から観察してみたい。  原爆と日本のSF映画という観点から語れば、ありきたりなものになってしまいそうだ。  そこはちょっと、変わった視点から解読してみようと思う。 ① 日本のSF映画の3つの形態  1950年代から1980年代くらいまで、日本のSF映画の主なジャンルは、だいたい三つに分かれていた。 1、

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          ガンバルナー日記★第八回「映画『メフィスト』と承認欲求のはなし」

          ガンバルナー日記★第八回「映画『メフィスト』と承認欲求のはなし」 2024年10月8日 世間から認められたい! 職場で認められたい! 学校で認められたい! 仲間のなかで認められたい! 家族のなかで認められたい! SNSで認められたい! 認められたい!が氾濫しているねー。 まあ、 悪いことじゃないと思うんだな。 認められたいというのは、 立派な野心だとボクは思うんだな。 なんだか「承認欲求」という言葉がさあ、 すこーし、インターネット上でも、 世間でも、 ネ

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          ガンバルナー日記★第七回「映画『世界大戦争』の聖書を解読せよ!」

          ガンバルナー日記★第七回「映画『世界大戦争』の聖書を解読せよ!」 2024年10月4日 あー、 ボクって無神論者なんだな。 でも、ボクは、 戦争映画の研究を生業にしているからね、 西洋の戦争映画には、キリスト教の聖書は、よく出てくるんだよね。 だから、 その部分は読んで色々と考えたりはするんだよね。 ここに挙げる聖書の一節は 日本の戦争映画、『世界大戦争』に出てきたものだよ。 ちょっとここからいろいろ考えてみようか。 何か大切なことも見つかるかもね 映画の中に登

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          ガンバルナー日記★第六回「ゴキブリさんを解読せよ!」 2024年10月2日 きゃー! 出たぁー、Gだぁー! どうする、どうする、どうする キミならどうするー! ハイ、殺虫剤の登場だ。 ゴキジェットの出番です。 シュッとひと吹き、いっぱつ解決だあー だって、 Gは怖いもんね。 気持ちが悪いよね。 先日もコンビニの駐車場でね、若人が集って、車止めの縁石に腰掛けて、カップラーメンの集いをやってたわけよ。 すると、 「おー! ゴキブリだ!」 って声が上がると もう一人

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          ガンバルナー日記★第五回「コスパ文化を解読せよ!」

          ガンバルナー日記★第五回「コスパ文化を解読せよ!」 2024年10月1日 小学生のころから、 ボクはすでに戦争の本ばかり読んでた。 もう、勉強しなきゃならないのに、そっちのけで戦争の本ばかり読んでるわけ。 それから、映画を観る。 テレビでやってる映画をとにかく、毎日観るわけだよ。 これも、勉強しなきゃならないのに、そっちのけで映画ばかり観るわけだよ。 周囲からはねえ 勉強することが大事で、勉強しなかったら、将来困ることになる❗️ だから「ムダ」なことはやめなさい❗

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          怪獣映画を解読せよ!:『マタンゴ』ネオンサインと毒キノコ

          ⚫︎怪獣映画を解読せよ!『マタンゴ』ネオンサインと毒キノコ 『マタンゴ』(1963年・東宝) 監督:本多猪四郎 脚本:木村武 原案:星新一、福島正実 出演:久保明、水野久美、小泉博、佐原健二  ネオンサインが街の夜を彩る様になったのは1920年代からだそうだ。今では珍しくなくなったネオンサインを最初に見た人々は驚きをもって眺めただろう。  ネオンサインは夜の都会の顔となったが、ネオンサインは広告として、あるいは看板として機能するもので暗闇に光を与える実用性は持たない。

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          ルネ・クレマン、『鉄路の闘い』は『太陽がいっぱい』となにが違うか?

          戦争映画のはなし: ルネ・クレマン、『鉄路の闘い』は『太陽がいっぱい』となにが違うか?  ルネ・クレマンの映画といえば『太陽がいっぱい』が思い出される。  『太陽がいっぱい』は傑作である。しかし、その原点は『鉄路の闘い』だ。この二つの映画は形こそ違えど抵抗の映画なのだから。 『太陽がいっぱい』の主人公、リプリーも『鉄路の闘い』におけるレジスタンスたちも、自らを解放するために、抵抗を連続的に進めてゆく。  リプリーは不平等な社会システムに対して、レジスタンスたちは圧政者ナチ

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          ガンバルナー日記★第四回「正しい答えを解読せよ!」

          ガンバルナー日記★第四回「正しい答えを解読せよ!」 2024年9月30日 小学校に通っている頃の話しだ。 国語の小テストが生徒に返却された。 青一色で刷られたプリントには、先生の朱色の色鉛筆で⭕️❌がおどっている。 友だちのナカタニが、叫ぶ。 「えー、これなんで、間違いなん?」 その声に級友が集まると、最後の問題の回答にに❌が大きくついていた。 その問題とは? ※「いわば」という言葉を用いて例文を作りなさい。 さあ、どんな回答が適当かなぁ? 「いわば、これ

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          ガンバルナー日記★第三回「時間どろぼうを解読せよ!」

          ガンバルナー日記★第三回「時間どろぼうを解読せよ!」 2024年9月29日 ボクが運営しているチャットルームで、メンバーの中学生くんから相談があった…… 「Nagataさん、あのね、来月行きたいイベントがあって、いま、どうしようか悩んでるんだ」 「どうしてかなぁ?」 「それがさ、そのイベントは日曜日にあるんだけさ。その日は試験期間中なんだよ」 「ああ、テストか、で、日曜日は塾とかあるわけ?」 「いや、ないんだよ」 「じゃあ、行ったらいいじゃないかー」 「でも、

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          ⚫︎レジムビ★『遊びの時間は終わらない』-遊びの時間の大衆論−

          ⚫︎レジムビ ★『遊びの時間は終わらない』-遊びの時間の大衆論− 『遊びの時間は終らない』1991年 にっかつ 監督:萩庭貞明 脚本:斉藤ひろし 原作:都井邦彦『遊びの時間は終わらない』 出演:本木雅弘、 石橋蓮司、西川忠志、伊藤真美、萩原流行、斎藤晴彦、赤塚真人、 原田大二郎  小さな地方都市の銀行の防犯訓練。警察署長の鳥飼(石橋蓮司)は筋書きなしの訓練という斬新なアイデアで、地元マスコミにも事前のウケもよく大いに満足だった。   犯人役を命じられた交番勤務の平田巡

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          ガンバルナー日記★第二回「くたばれアマデウス!」

          ガンバルナー日記★第二回「くたばれアマデウス!」 2024年9月28日 ライバルっているかい? ふむふむ、そうかあー まぁ、だれでもいるんだなあ。 ボクはライバルっていなかったんだ。 いまも、いないな。 なんでだろうね? これはちょいと、あとから話そうー。 さて、 ライバルに勝てない時ってどうする? アイツはすごくデキる奴だなあって思っても こっちは全く歯が立たない。 アイツは仕事もできるし、お金のまわりもいい、オマケにモテるしなあ…… でも、 あんな奴にオレが

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          怪獣映画を解読せよ!★『ガス人間第一号』認められない二人の社会の牢獄としてのホール

          ⚫︎怪獣映画を解読せよ!★『ガス人間第一号』認められない二人の社会の牢獄としてのホール 1、ガス人間第一号の物語  大学に行けず憧れの航空自衛隊にも入隊できなかった図書館で働く青年、水野(土屋嘉男)が科学者に騙されて人体実験を受け、体が気体状になってしま う。  人間にもガスにも自由に変身できるようになった水野は科学者を殺し、落ちぶれた日本舞踊の家元、藤千代(八千草薫)と出会う。  ガス人間水野は彼女をも う一度、日本舞踊の世界に押し上げようと考える。そのための発表会

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