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ガンバルナー日記★第三回「時間どろぼうを解読せよ!」

ガンバルナー日記★第三回「時間どろぼうを解読せよ!」
2024年9月29日

ボクが運営しているチャットルームで、メンバーの中学生くんから相談があった……

「Nagataさん、あのね、来月行きたいイベントがあって、いま、どうしようか悩んでるんだ」

「どうしてかなぁ?」

「それがさ、そのイベントは日曜日にあるんだけさ。その日は試験期間中なんだよ」

「ああ、テストか、で、日曜日は塾とかあるわけ?」

「いや、ないんだよ」

「じゃあ、行ったらいいじゃないかー」

「でも、テスト期間中だよ? いいかなあ」

「どうしていけない?」

「だって、テスト期間中は勉強しなくちゃいけないじゃない? クラスのみんなもやってるし……」

「ああ、そういうことかあ、じゃあ、キミはイベントに行く日に勉強する時間を、テスト期間より前に持ってくればいいじゃないかー」

ちょいと、中学生くん、間をおいて

「あー、そうかあ、じゃあ、日曜日に行けるよね、あはぁ、納得したよ。ありがとうー」

「そうそう、行ってきなよ。楽しいことした方が、そりゃストレスもかからずテスト勉強できるよー」

とまあ、そんな対話だったんだけどね、この中学生くんは、中学生でも普段からすごくしっかりしてる。特に時事問題とかよく話してくれる。
イスラエルとパレスチナの問題とか、戦争のこととかね。よく語りったりね。

そんな彼が、こんなテスト期間中の問題で悩んじゃうのにはちょいとびっくりしたんだよな。

つまり、これって「時間」の使い方の問題なんだな。

彼が感じたテスト期間中の時間ってやつは、そうだなあ、テスト勉強しなきゃいけない時間ってことが絶対的になっているんだろうな。

みんなもその「時間」に勉強してるんだから、こりゃもう、ボクもしなきゃなあってことになっちゃう。

テスト期間中の「時間」はその時間を共有してる全員に対して、もう、こうしなきゃなんないよ! って圧力をかけていて、その時間を自由には消費させちゃくれないわけだ。

以前ね、チャットのなかにある、音声ライブ機能を使って、大学生の男の子と、女の子、そしてボクの3人でラジオ風の配信をやっていたことがあってね。

そこで「タイパってなんだ!」って特集をやったことがあったんだね。

いわゆるタイムパフォーマンスってやつだ。

めっちゃ、単純に言っちゃうとだね、
タイパってやつは
時間を節約して、物事の達成率を上げようってことだね。

映画を一本観るのも早送りとか、中飛ばしで観ちゃうってんだから、ボクにはびっくりなわけだよ。

よく聞く話ではポップスもイントロや間奏はいらないってのもあったなー。

どうしてそこまで時間節約が必要なんだい? って聞くと、2人はブワーッと色々話してくれた。

まあ、簡単にまとめて、言っちゃうとZ世代はミッションが多すぎるってことだ。

学校に塾、その課題をこなすだけで、もう1日の時間がありゃしねえ……

でも、映画やアニメも観たいし、マンガも読みたいし、ゲームもしたい。
だけど、全部のミッションは達成できないから、縮められるものは縮めるってわけだ。

120分の映画も2倍速なら1時間で観られるってわけさ。

なるほどなあって思うのだけれど、ボクにはやっぱりスッキリしないわけだよ。

ミッションが多すぎて、タイパで短縮するなら、好きなカルチャーのクオリティーが下がるだろう?

そう聞くと、いや、だいじょうぶ。
YouTube動画やネット情報で補うからクオリティーは下がんないんだよっていうわけ。
友だちともそのネタで話せるってね。

なるほどねえ。

なんかそこは、ちょっとわかった気がするわけで、カルチャーについて深く掘り下げてみたりってことができないのは「時間」がないからなんだな。

そして、なんでもかんでも、ネット情報で完結しちゃうのも、そうか、そういうことか。

本でも動画でも「10分でわかる世界の名作!」みたいなのもあるけど、いやあ、むずかしいねえ。

ボクもYouTube動画に挑戦して「8分DE名画」ってのをやったが8分じゃとても無理だったってことを思い出した。

まあ、彼らはそんな時間のパフォーマンスを押しつけてくる社会の問題なんだよなあっていうわけ。

まあ、そうだよね
全体的な社会のシステムがあくせくしろってなってる。

だから好きな趣味とか、カルチャーにじゅうぶんに接することができない。

感動とか洞察とかしてる暇もないわけだ。

ヨーロッパのスイスとかドイツとか行って、つくづく感じたけど、あっちの人は老若男女、どの世代も余裕があるのだな。

あれは社会のシステムのせいなのかもしれないなぁー。
文化も洗練されるのは、まあ、享受する人びとの心の余裕もあるんだろうなあ。

さて、
まあ、中学生くんと大学生さんの話を聞いていると、なんというか、本人はそれで満足してるっていうか、普通なんだろうけど、時間にガッチリ使われてるよなあって思ったわけよ。

『モモ』って映画があったよね。
ドイツの作家、ミヒャエル・エンデの児童文学が原作の映画だな。

映画『モモ』

あそこに時間貯蓄銀行ってのが出てくる。

闇の集団のセールスマン、灰色の男たちが、謎の少女モモが住んでいる街へやってきて、街の人たちの時間を貯蓄にまわさせて人間らしい豊かさを奪い取ってしまうという話しだ。

それまでは、のんびりとコミュニティーで生活を楽しんでいた人たちが、突然、時間節約と貯蓄に忙しくなって、せわしくギスギスしてくるんだな。

モモだけそれに引っかからないから、灰色の男たちと対決になるって、お話だな。

ミヒャエル・エンデの『モモ』

エンデは貨幣経済に疑問を持っていた人だ。
貨幣という存在は、モノの価値を貨幣に転換することで温存できるという機能があるんだな。

エンデはこれが人間社会のトラブルの原因になると考えていた。貧富の差とかさ、搾取とか、もっと大きくなると戦争とかさ。

エンデはモモで、その貨幣の存在を時間に転換して、おとぎ話しで、聞かせたわけだ。

モモの街の人たちが、のんびりできなくなったのは、のんびり〜っとか、幸せだわ〜っという余裕を、普通に感じてきたのに、それを温存する価値としての「時間」に変えちゃったからなんだな。

つまり、気持ちをはっきりした「時間」って存在で感じるようになったんだな。

ああ、もう、時間っていままで普通に空気みたいにあって、自分で無意識に自由に使ってきたのにさ、時間に使われることになっちゃってわけだよ。

時間どろぼうに時間を取られて、時間の奴隷になっちゃうわけさ。

みんなのタイパの話を聞いていて、こりゃ『モモ』の世界だなぁーって思ったわけだ。

時間に使われる時間奴隷になっちゃうか

それとも

時間を操る時間マスターになるか

ここを選ぶのは難しいなとは思うな。

ボクは時間奴隷になったことはない気がしてねぇ。

こりゃいけないんだが、結構時間にはルーズっていうのかな、無意識で気ままに使ってしまうからかもしれない。

仕事で忙しくて追いまくられるって状況もある。

特に公務員だった時代、国際交流で仕事をしていた時代は、仕事が面白すぎるので、一日、21時間は働いていた。

家にまで仕事持って帰ってやってた。

もちろん、それだけ、やらなきゃいけない仕事があったからだけど、時間に振り回されるって感じじゃなかったんだなあ。

その忙しさのなかで、彼女とデートする時間はたっぷりとるし、好きなゴジラの映画も観てた。
怪獣のおもちゃや、トイガンで遊ぶ時間もとってたわけだ。

どうして、それでタイパが必要なかったのか??

いやあ、
自分でも、そこは不思議に思うんだが、なんでだろう。

たぶんだけど、時間に使われてるって意識がなくて、こっちが時間を使ってやってるって無意識の「意識」のせいかなー。

ともかく、時間って空気みたいに自分の行動といっしょについてくるって感じで、こうしなきゃなんないって、一切、思ってなかったからもしれないなあと思うんだな。

ああ、つまりね、時間に関する計算しないんだ。

ここが難しい。
勝手に計算しているって感じかな。

子どものころから、ノートやメモは一切とらない人なので、スケジュール表みたいなものもない。漠然と頭のなかに入ってるから、スケジュール表に縛られることもないわけだ。

10時にここへ行って、誰それに会う
15時にそこへ行って仕事の打ち合わせ

もちろん、そんなスケジュールってあるわけだよ。
もちろん、そこへも時間通り行くわけだよ。

でも、時間ということは意識しないんだ。
その方が楽だからね。

逆にスケジュール表にびっしり分刻みで数字と文字を書いてあるのを見ると、ああ、もう無理だわなあって思う。

もちろん、カレンダーには簡単にスケジュールは書いてある。
でも、スケジュール帳は持ち歩いても見ることがないわけだ。

だって、その日1日の予定さえ頭に入っていたら別に問題ないし。

うーん
うまく説明できないが、時間を操れないわけでもない。

いまは、そんな仕事の機会は減っちゃったけど、映画のプレトークとか頼まれて、10分でお願いしますって言われたら、きっちり10分で話せちゃうし、ルーズってわけでもなかったんだよね。

まあ、ボクのやり方って、いいかげんで無茶苦茶だから、お勧めできないけどね。

スケジュール帳を使っていても、時間の数字とか、その長さ短さって感覚に囚われない、そんな気持ちの工夫があればさ、

「時間マスター」でやって行けるんじゃないかな?

意識の転換だなぁー。

あー、
こんなことのんきに書いてるけどねえ

いまは、時間ありすぎかなぁー

暇になりゃまた、時間に暇ってことで
時間奴隷にされちまうってこともある。

いろいろとたいへんだよね。

ええい!

時よ止まれ!オマエは美しい!

そう思えるくらいの
時間や世界を知り尽くして、
支配できるくらいの余裕でいたいもんだよねー。

みんなで、時間をボクらの奴隷にしちゃおうー。

そうさ、
生きてることなんざ
ボクたちが主役なんだからさ
自分本位で楽しまなくっちゃねえ。

今日から時間どろぼうさんを撃退しよう!

ガンバルナー!

ということで

またなんか書くよー

じゃあねー



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