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事業承継というテーマはビジネスにするには難しい。毎月数百名の方の問い合わせに対応しながら捉えた課題をまとめてみる。

はじめまして。
株式会社TRAYDINNOVATION(トライドイノベーション)という事業承継問題を解決する会社の代表の長田です。
※以下トライド

リンクアンドモチベーションにて九州支社の立ち上げ、中小企業部門顧客のエンゲージメントスコアの改善ランキング国内1位を記録。退職後、(株)LUXEBRANDの取締役に就任。事業再生を担い、黒字化。2021年に(株)トライドイノベーションを創業。代表取締役COOに着任。事業、商品、組織開発を担う。”日本を事業承継の先進国にする”をビジョンに奮闘中。

■取得資格
一般社団法人日本金融人材育成協会認定の経営承継アドバイザー(第4号)
一般社団法人日本的M&A推進財団認定M&Aプランナー

トライドは2021年9月に創業した会社です。沖縄県で創業し、現在は東京、京都、神戸、福岡、沖縄とメンバーが日本に散らばりながらフルリモートで挑戦を続けています。平均年齢も37.5歳と、比較的ベテランな人材で挑戦を試みているスタートアップです。
※業務委託パートナーたちを含むと約60名ほどの組織体になります。

比較的順調に事業拡大をしているように感じていただくことも多いのですが、正直なところ創業経営者として沢山の壁にぶつかりながら、死に物狂いで前進しているところです。(笑

さて、創業から1年でピボットを6回ほどしました。
事業や商品が変わることで、離れていった仲間たちも5人ほどいます。
創業初期にその人たちの活躍があってこそ、今があるなと思うのでとても感謝しています。その中で、事業はもちろん人に対する考え方や、自分なりの価値観もおかげさまで磨かれた1年だったなと思います。(この辺りは別の機会にnoteにまとめてみます。)

「事業承継」という課題の大きさを語る方々は多いのですが、この問題に対しては、国もトライしているのになかなか解決に向かいません。
その理由の一部を、沖縄で起業し、多くの地方中小企業経営者と対峙をしてきた私の視点でお話しできたらと思います。(もっとテーマを切り分ければ色々と細かな話はあるのですが今回は少し大胆に話します。)

▼目次

「事業承継問題って、めちゃくちゃ複雑じゃない?」

事業承継問題は、事業承継引継ぎ支援センターや、多くのM&A仲介会社をはじめ、税理士の先生や各士業の皆さんが日々向き合ってご支援をしている領域です。

2025年には127万社が後継者不在となり、うち60万社の企業が黒字廃業見込みといわれています。550万人の雇用機会の喪失に加え、GDP22兆円のダメージらしいです。

もう、そこまで言われたらピンとこないですが、だいたい兵庫県の人口、または自動車業界で働く雇用者全員くらいの規模らしいです。(恐ろしい)

日本全体でいろんな人がM&Aの支援していますが、実際にM&Aの実績としては国内で年間4,300社程度と言われています。
2025年には60万社が黒字廃業見込みと言われてるのに、シンプルに間に合わないよねって話です。(この辺りの話はよく耳にする話かと思います)

今日は、現在月間数百社程度、事業承継やM&Aのお問い合わせに対応し続けている中で体感した様々な違和感を私なりの見解で言語化し、事業承継領域においてどのような構造が生じているかについて解説したいと思います。

先んじて伝えておくと、「支援者目線で稼ぎになりにくい対象企業を救うためには、”M&A仲介業務だけとは違う切り口”で支援活動をしていくことが重要である」と考えています。
この投稿を見て、共感いただく方がいたら、ぜひ一緒に事業承継問題の解決に向けて当社と一緒に戦ってほしいです。近い価値観の方、色々と話しましょう。


「後継者不在企業の問題」

・周囲に相談せず、ギリギリまで承継準備は後回し


そもそも自分が何歳で引退するかを考えている経営者は少ないです。
後継者がいない中でも、まだ大丈夫だと考えたいものです。いつかは準備しなきゃいけないと分かりつつも、ずっと経営者として日々戦い続けています。
そろそろ引き継ごうと思うタイミングでは準備が間に合わないケースを多く見ます。ふたを開けると、「誰に相談すればよいかわからなかった」と聞くことが多いです。まさか自分が引退の準備をする時期に来ているなんて思わないのでしょうね。

ちなみに上記データも鑑みて、売却準備が整ってないことから、
納得感ある売却ができていないと推測します

・助けが必要な中小企業ほど高額な費用は払えない


地方中小企業の大半が目先の資金繰りに必死なケースが多いです。
野球に例えると、社長自身が監督、キャプテン、エースで四番バッターなんてことが横行しています。
今まで顧問税理士の先生に月に3万円ほど支払っているアドバイザリー費用が基準となっているため、無形の助言行為に対して10万円以上の高額な支払いをする風習がないのが実態です。コンサルティング会社の支援を受けることも慣れていません。コンサルティングサービスを享受しても、ポイントを聞くだけでは会社を改善することは難しく、具体的に方法まで一緒に決めていかないと改善が進まないようなケースが大半です。
足元のCFが厳しい中で高額な費用を払って経営の支援や事業承継の準備を始めることは受け入れられない市場だと言えます。

・引き継ぎたいと思ってもらえない会社になっている


専門家を頼らないためか、後継者(社)からみて”引き継ぎたいと思えない”ような会社になっていることもまた多いです。
シュリンク産業で、差別化できる強みもなく、業績も直近数年間右肩下がり。債務も大きく、従業員の平均年齢も高い。そのような状態で引き継ぎたいと思ってもらうのは難しいです。
早くから対処すれば、人や施策に対して投資する時間とお金があったはずですが、この時点でほぼお金も時間的余裕もないケースばかりです。


「支援者の問題」

支援者は様々な機関が存在しています。ここ数年で支援業者数は急増していますね。M&A業界が活況のため、M&A仲介会社で活躍していた人材が独立していくケースが多いようです。また新規参入も増えていますね。ただし、またこの支援者たちも多くの問題を抱えているように見えます。

・経営に詳しいわけではない


金融機関、仲介会社出身者や在籍者は確かに財務資料の読み込みは朝飯前です。企業価値の簡易評価はもちろん、現在の売却可能性を計算することは上手です。
税理士の先生は経営者の出口と呼ばれる「IPO」「承継」「M&A」「清算」「廃業」のどの選択をとっても出てくる税制や相続面の問題の相談役としてご活躍されます。

ただし、この先生たちも別に経営に詳しいわけではございません。
経営者たちは、売却スキームや税対策の話だけをしたいわけじゃない。
みんな、「うちの会社はどうしたら、後継者が見つかるのか」「どう準備すると損しないのか」を経営目線で相談したいんです。

ただ相談相手が見当たらない。だから同じ地域で先に売却や承継を済ませた経営者仲間と飲みに行く。
ただ、事情が違いすぎるため経験則からくるアドバイスも半分くらいは参考にならない。孤独なんです。出口を検討している経営者たちは。

少し古いデータですが、一番距離の近い会計士や税理士が相談相手1位

・優秀な専門家は都心部に集中


これもまた仕方ないことですが、優秀な専門家はもちろん、どこにいっても引っ張りだこです。どんどん面白い仕事、大きな規模の仕事が舞い込みます。都心部に集中しているように見受けられます。最近はリモートでもお打ち合わせが可能になっているのでZoomなど活用できている経営者たちは都心部の専門家たちの力を上手に活用して準備をすすめていらっしゃいますね。

・無償では手厚く支援はできない


もちろん、支援者たちもボランティアではないです。
仲介会社の営業担当は、「売れるものを見つけて早く売る」ことでインセンティブを獲得する報酬モデルで働いています。そのため、「今売らない」「売れない状態」の場合は支援が総じて手薄になります。
税理士の先生も同じです。自分の領域であれば助言もできるし、具体的な税対策等も進めますがそれ以上の相談はわからないし、時間がとられるので悩みを延々と聞き続けることはできません。ただし中には事業承継のプロの先生もいらっしゃいます。(自分の顧問先のM&Aの相談に乗るのは構造上難しいなと思います。買い手側の税理士が見ることになると思うので、顧問先が減っちゃいますからね。)
事業承継引継ぎ支援センターもありますが、ここは無償で相談に乗ってくれますし、様々な助言もしてくれます。後継者不在企業には後継者バンクを活用して人材紹介も行ってくれるケースもあります。ただし、担当者次第というのもあるため、期待するスピードで物事が進まないのも一部発生しているようです。
(否定をしているわけではなく、そういう構造だなと思っただけです。どの機関も事業承継問題を解決するために必要だと考えています)


「後継者(社)の問題」

・後継社候補だった地場の優良企業もコロナや円安の兼ね合いで売り手に転じている?


もともとは地場で優良だと言われてきた企業もコロナや円安の影響を大きく受けており、売り手側に転じてしまっているケースをここ1~2年よく見かけます。
「同じエリアで困ったらあの企業に買収してくれないか相談にいけばいい」という噂をきくこともたまにありますが、今のご時世、その状況が変わってきているケースも多いですね。(九州エリアだとホテル業界や飲食業界なども色々と事情が変わってきているなと感じますね。)

・「見栄」や「感情」が大事だから買い手は一流企業だと嬉しい。


会社を売る側の経営者も、人間です。今までわが子のように大切にしてきた会社を手放すのであれば、自分はもちろん、周囲の人から見ても褒められるような会社に買ってもらったほうが良いと考える方が多いようです。
(あまり偏った意見を言いすぎるとよくないので細かな言及は控えます)
そのため、後継社側が見つかっても、売る決断ができないケースは実は多いです。ただ、後継社として選ばれるような企業には、日々数多くのM&Aの相談が飛び交っているため、なかなか売り手側として選ばれる企業にも限りがあります。見栄や感情も大事ですが、その見栄を満たすことができる後継社の数と、売り手の数の需要と供給のバランスがとれていないのは言うまでもないでしょう。

・地域に魅力的な企業が少ないため優秀な人材は外に流出


ここも本当にそうなんです。そもそも若手で優秀な人材が「地方に魅力的な働き先がない」という理由で都市部に流出していました。
副業も盛んになり、マイクロ法人を作ったり個人事業主として働き方をしている方も増えました。
海外へのアクセスも身近になり、海外に本社を置く企業も増えています。地方から都市部に、都市部にから海外に。優秀な人材の流出は止まらないですね。UターンやIターンなど言われていましたが、実態として都市部から地方本社の中小企業に人材が動いている印象はまだないです。

・本当に優秀な人材は独立する


これも本当にそうです。
「後継者候補だった人が独立して顧客や社員を一部もっていってしまった。」という話も本当によく聞きます。
優秀な人材は独立しますよね。これは地方とか都市部とか関係ないと思います。やるやつはやるんです。いつも。どこでも。

課題のまとめ

色々と今回は課題の提起をしていましたがまとめると下記のような感じです。
・後継者不在企業は様々な事情で、事業承継の準備が出遅れている
・支援者たちは経営の専門家でもないし、ただのボランティアでもない
・後継者(社)の数が地方には足りない

そのため、生じていることは「今売れない企業」「今すぐには売らない企業」に対する支援が行き届いていないということです。
この問題は、1社が独自で解決に向けて動いたところで対して変わりません。そんなことはわかっています。

特に地方企業は上記のような悪循環に陥っていると予測

次回はトライドとして、長田としてどんな解決策を考え、仕掛けているのかについてお話していければと思います。


次回のテーマは下記の内容で投稿予定です。

「経営承継アドバイザーが考える、日本の事業承継問題の定義と
トライドイノベーションの仕掛ける勝負」

・事業承継問題を長田なりに定義してみる
・顧客目線で商品をつくってみた
・トライドイノベーションは日本を事業承継の先進国にする

もし興味のある方は個別でご挨拶、ディスカッションをしましょう!
採用だけではなく、業務提携、業務委託。
いろんな形で手を取り合って、残すべき地方中小企業を1社でも救い、地方に雇用を残していくために協力ができればと思います。


TRAYDINNOVATIONの志


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下記ご連絡いただければ幸いです。
取材のお問い合わせ→nagata@traydinnovation.jp
採用、業務委託、提携のお問い合わせ→facebook.com/nagata1111


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