M氏

臨床心理士、公認心理師。Ph.D(人間学)。領域に関係なく、日々の中で学んだこと&am…

M氏

臨床心理士、公認心理師。Ph.D(人間学)。領域に関係なく、日々の中で学んだこと&覚えておきたいことを中心に記録するためのnoteです。書く練習も兼ねているほぼ自分用ですが、情報共有として誰かの流し読みのお役に立てばなお良いと思っています。

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  • 子どもを育てる時に知っておきたい事を思い出す会

最近の記事

親と死別した子どもの理解:死を体験した子どもを目の前にして私たちは何を考えるか

 親と死別した子どもに対して、どのように対応すればよいのだろうか。その子どもは、身内や親せき、または自分の子どもになる場合もあるだろう。情報としていくつかまとめ、思った事を記述する。 ①阻害しないこと  子どもの親や周囲の人が亡くなった時、周りの大人は「子どもにはこのような現実は耐えられない」、「きっと大きな傷が残るに違いない」と死の場面から遠ざける。特に、お葬式や法事、死に関する話し合いなどからはできるだけ遠ざけようとし、またそれが子供のためだと思っている。その場に参加

    • いじめを解決できる学級とは:生徒を加害者にも被害者にもさせない予防の観点

       ある研究によると、学齢期生徒の75%以上がいじめと関わりを持っていることが示されている(Brandshaw,2007)。これを多いと思うか、少ないと思うか。これを「加害―被害」の関係から想像すると、いじめたこともないし、いじめられたこともないとする人は多いかもしれない。しかし、いじめとは「被害―加害」の関係だけで捉えるものではない。実際には、「いじめと関わりをもったことのない人」は、恐らく1%も居ないように思われる。この感覚は下記を読むと納得できるだろう。 平成25年度に

      • パートナーとの関係修繕について:本当に「相手が変われば何もかもうまくいく」のか?

        パートナー(夫婦、恋人)と衝突する際、「私は正しく、間違っているのはそっちだ」と思うことはないだろうか。多くの場合、険悪な関係性に向かっている時には大抵この価値観が悪さをしている。この価値観は、我々の自尊心を満たし、パートナーとの競争を煽り、パートナーとの論争に勝たせることはできるかもしれないが、パートナーとの温かい関係性を育むという視点においては長期的にみて全く役に立たない。 どんな関係であっても、苦痛を感じることは避けられない。それ故に、苦痛の原因となる感情をどう処理し

        • 子どもを育てる時に知っておきたいことを思い出す:Part2 赤ちゃんが泣いた時こそにっこりと

          どの親でも、子どもには最高の教育を施したいと思っているし、きっと素敵に成長してくれるのだろうと期待している。一方で、上手く育てられるのか、自分ではない誰かが上手に育てた方が子供のためかもしれないとも考える。子育ての指南書は読み切れないほどあるけれども、あなたの育児は最も正しい方法を選択しているとは誰も言ってくれない。この子は必ず素晴らしい人間になると保証してくれる人はいない。 子供への期待は親によって様々である。学力、人柄、カリスマ、将来性、運動能力、音楽の才能、芸術の才能、

        親と死別した子どもの理解:死を体験した子どもを目の前にして私たちは何を考えるか

        • いじめを解決できる学級とは:生徒を加害者にも被害者にもさせない予防の観点

        • パートナーとの関係修繕について:本当に「相手が変われば何もかもうまくいく」のか?

        • 子どもを育てる時に知っておきたいことを思い出す:Part2 赤ちゃんが泣いた時こそにっこりと

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        • 子どもを育てる時に知っておきたい事を思い出す会
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        記事

          子どもを育てる時に知っておきたい事を思い出す:Part1 赤ちゃんの脳って?

          1913年に提唱された行動主義の考えでは、赤ちゃんは「白紙の状態」で生まれるため、教育や環境によってどのようにも育てる事ができるのだという。この行動主義を提唱した有名な心理学者のジョン・ワトソンはこのような名言を残している。 「健康な乳児を10人ほど与えてもらい、育児環境を私がいかようにでも決める事ができれば、どの子にでも訓練し、その子の才能、傾向、能力、適性、祖先の人種とはいっさいかかわりなく、医者、弁護士、芸術家、商人に、いや物乞いや泥棒にでもしてみせよう」(多少略)

          子どもを育てる時に知っておきたい事を思い出す:Part1 赤ちゃんの脳って?

          人には、「嫌なことがあった時に一緒に居たい」と思う人が必要

          そもそも、子どもが養育者を必要とするのはなぜなのだろうか。親が離れると泣き、親を追い求めるような行動をするのはなぜなのだろうか。それは、養育者の事が“好き”だからなのか、それとも衣食住を提供してくれるからなのか、もっと根本的に、生命の安全を保障する個体と離れることに不安を感じるからだろうか。 人は、不安や緊張が高まる時に他者に“くっつく”ことで安心を得ようとする生物学的な仕組みをもっている。そのため、乳幼児期の子どもは目の前の養育者がどんな人であれ、養育者に“くっつく”こと

          人には、「嫌なことがあった時に一緒に居たい」と思う人が必要