SHOJINBERG

記者歴20年の素人ライター兼プロ散財家。小説、随筆、日々の想いなどを綴っています。

SHOJINBERG

記者歴20年の素人ライター兼プロ散財家。小説、随筆、日々の想いなどを綴っています。

最近の記事

散財記⑬ J.M.ウエストンのシグニチャーローファー

色々なモノを買ってきた。「一生モノ」と思って買ったモノもあれば、衝動買いしたモノもある。そんな愛すべきモノたちを紹介する散財記。13回目はJ.M.ウエストンのシグニチャーローファーだ。 初めて履いた革靴(らしきもの)はローファーだった。中学校から私立の中高一貫校に進んだため、制服がブレザーとローファーだったのだ。指定されたローファーは、タンの部分に学校の頭文字が型押しされており、サドル部分の縫製がビーフロール(肉巻き)になっているタイプだった。 素材については覚えていない

    • 散財記⑫ ジョンストンズの大判カシミヤストール

      色々なモノを買ってきた。「一生モノ」と思って買ったモノもあれば、衝動買いしたモノもある。そんな愛すべきモノたちを紹介する散財記。12回目は「ジョンストンズの大判カシミヤストール」だ。 昔から冬が好きである。 「なぜか」と人に問われると、「重ね着ができるから」と答えている。 夏は夏の良さがあるのだが、ことファッションとかオシャレとかいう観点に立つと、極めて面白くない時期だ。暑いので、トップスをTシャツにするか、シャツにするか、はたまたアロハにするか、くらいの選択肢しかない

      • 2409 今月のチャレンジ 「Penny」

        毎月、新しいことに挑戦する私的新企画「今チャレ」。9月のお題は、ミニクルーザー「Penny」だ。 第4次スケボーブームである。ジョギングとボルダリングに次ぐ、第3のアクティビティとして、久しぶりにスケボーが自分の中で盛り上がっている。 どのくらいの盛り上がりかというと、仕事終わりのクルージングが楽しすぎて、禁酒に成功してしまったくらいである。酔っ払ってあんなもの乗れない。乗る気にもなれない。ただいま午前10時10分だが、今すぐにでも滑りに行きたい。だが、勤労中年としての立

        • 散財記⑪ HHKBの「Professional HYBRID Type-S(英語配列・墨)」

          色々なモノを買ってきた。「一生モノ」と思って買ったモノもあれば、衝動買いしたモノもある。そんな愛すべきモノたちを紹介する散財記。11回目はHHKBの「Professional HYBRID Type-S(英語配列、墨)」だ。 今を去ること20年前、バリバリ就職氷河期全盛期に、私は通っていた4年制大学を卒業した。 売り手市場の現代就職戦線では考えられないだろうが、当時は100社にエントリーシートを提出して、1社も入社できないというのが当たり前だった。日本企業は「新卒」しか採

          散財記⑩ ニューバランスM1500

          色々なモノを買ってきた。「一生モノ」と思って買ったモノもあれば、衝動買いしたモノもある。そんな愛すべきモノたちを紹介する散財記。10回目は、ニューバランスM1500だ。 ニューバランスの人気もすっかり定着した感がある。街を歩いていても、電車に乗ってみても、Nマークがよく目に入る。大体、電車だと1両につき少なくとも3〜4人は履いているだろうか。昔は、あのでかいNマークがダサく感じて苦手だったが、今では絶妙なダサさといなたい感じがたまらなくなっているのだから、人の好みというのは

          散財記⑩ ニューバランスM1500

          散財記⑨ パタゴニア フーディニ・ジャケット

          色々なモノを買ってきた。「一生モノ」と思って買ったモノもあれば、衝動買いしたモノもある。そんな愛すべきモノたちを紹介する散財記。9回目は、パタゴニアのフーディニ・ジャケットだ。 初老を迎えてから、服選びの傾向が変わってきた。 20代、30代の頃は、とにかく背伸びをしていた。 英国紳士に憧れて、色々なモノを買い漁った。 靴はジョン・ロブ、コートはアクアスキュータム(しかも、キングスゲートではなく、ウエストモーランドという変化球)、ジャケットはバブアー……。今覚えば、可愛ら

          散財記⑨ パタゴニア フーディニ・ジャケット

          散財記⑧ LENOのレザートートバッグ

          色々なモノを買ってきた。「一生モノ」と思って買ったモノもあれば、衝動買いしたモノもある。そんな愛すべきモノたちを紹介する散財記。9回目はLENOのレザートートバッグだ。 久しぶりに衝動買いをした。 私は関東の一角の地方都市で単身赴任をしている。平日は仕事が忙しく、休日もほとんどない。少なくとも転勤してからは数日しか休んでいない。「数日も休んでいるのか」と驚いた向きは、ぜひ我が業界に転職してほしい。きっと刺激に満ちた毎日が待っていることだろう。 そんな生活が続いていたせい

          散財記⑧ LENOのレザートートバッグ

          散財記⑦ オールデンのプレーントゥ

          色々なモノを買ってきた。「一生モノ」と思って買ったモノもあれば、衝動買いしたモノもある。そんな愛すべきモノたちを紹介する「散財記」。7回目はオールデンのプレーントゥだ。 靴が好きである。 プロの散財家になったのも、元はと言えば靴が原因だ。 「良い靴を履きなさい。 良い靴は履き主を良い場所へ連れていってくれる」というイタリアのことわざがあるが、私の靴たちは、プロ散財家という未知の領域に私を連れて行ってくれた。 「セックス・アンド・ザ・シティー」でサラ・ジェシカ・パーカー演

          散財記⑦ オールデンのプレーントゥ

          散財記⑥ キジマタカユキ WORK CAP for Ryuichi Sakamoto

          色々なモノを買ってきた。「一生モノ」と思って買ったモノもあれば、衝動買いしたモノもある。そんな愛すべきモノたちを紹介する「散財記」。6回目は、キジマタカユキのキャップだ。 これまでに、たくさんの帽子をかぶってきた。怖くてちゃんと数えていないが、今までに買った帽子は、20を軽く超えるだろう。そのうち現役で使っているものはほとんど無い。あれだけあった帽子は一体どこに行ったのか。靴屋さんに住むこびとさんが持って行ったのかもしれない。 そんな帽子好きの私だが、長らく帽子が似合わな

          散財記⑥ キジマタカユキ WORK CAP for Ryuichi Sakamoto

          散財記⑤ ラ・スポルティバ マントラ

          「一生モノ」と言い訳をして買った数多の品の中から、本当にお気に入りの一品を紹介する散財記。4回目は、ラ・スポルティバのマントラだ。 画像が無ければ、何に使うモノかさっぱり分からないだろうが、ボルダリングシューズの名称である。「ラ・スポルティバ」というのがメーカー名で、「マントラ」が製品名である。 五輪種目にもなっているので今更だが、ボルダリングというのは、クライミングの一種だ。本来は自然の中にある巨大な岩とか崖を身一つで上るエクストリームなスポーツなのだが、現在は都心部の

          散財記⑤ ラ・スポルティバ マントラ

          散財記④ ルナサンダル べナード

          「一生モノ」と言い訳をして買った数多の品の中から、本当にお気に入りの一品を紹介する散財記。4回目は、ルナサンダルのべナードだ。 走ることが好きである。 最初に断っておくが、フルマラソンで10年連続してサブスリーを切ったとか、サロマ湖ウルトラマラソンを制限時間内に走り切ったとか、そういう華々しい戦果は全くない。小学校時代の冬のマラソン(と言っても3キロかそこいら)では、隣のクラスの鈴木望くん(通称:ムーちゃん)と熾烈なビリ争いをしていた。冬になると、あのT県S市のAY川周辺

          散財記④ ルナサンダル べナード

          散財記③ エルメス シェーヌ・ダンクル GM13

           「一生モノ」と言い訳をして買った数多の品の中から、本当にお気に入りの一品を紹介する散財記。3回目は、エルメスのシェーヌ・ダンクル だ。 昔から、シルバーアクセサリーが好きだった。 そもそもの始まりは、ローリング・ストーンズのキース・リチャーズである。彼が右手の薬指にしているドクロのリングが欲しくてたまらなかった。今を去ること25年前の春である。 宇多田ヒカルがファーストアルバムで日本の音楽シーンを席巻しようとしていた頃だ。広末涼子が早稲田大学に入学したことで、話題を攫

          散財記③ エルメス シェーヌ・ダンクル GM13

          散財記② ジャック・デュラン Paques 506

           「一生モノ」と言い訳をして買った数多の品の中から、本当にお気に入りの一品を紹介する散財記。2回目は、ジャック・デュランのPaques 506 だ。  これだけの情報で「ああ、あれね」と分かる方は、かなりのメガネ好きだと思う。Paquesってなんて読むのかさえわからないし。パクエス? 多分違う。(正解はパック。フランス語で復活祭の意味らしい。なぜ、そうなるのか)  万年筆の次にはまったのが、メガネだ。元々、そこまで目は悪くない。右が0.8、左が0.7くらいなので、日常生活

          散財記② ジャック・デュラン Paques 506

          散財記① ペリカン スーべレーンM800茶縞

           多くのモノに散財してきた。  買うときは、「一生モノだ!」と思って買うのだが、今まで持ち続けてきたものはほとんどない。社会人になってからの20年で考えてみても、ずっと使い続けてきたものは、己の体くらいしか無い。  その肉体ですら3ヶ月で全ての細胞が入れ替わるのだ。同じ形はしているが、全てのパーツが違うモノは、果たして同一のモノと言えるのだろうか。「一生モノ」という概念自体が矛盾の塊である。  そんな中でも、自分で気に入って、「これは今後ずっと使うだろうな」と思うモノも

          散財記① ペリカン スーべレーンM800茶縞

          脱毛記18(完)

          (前回のあらすじ=私は宇宙と一体化し、脱毛の終わりを迎えた)  私は、のろのろと起き上がり、全裸にハイソックスという変態的な格好で立ち上がった。  とりあえず、パンツ(本来の意味でのアンダーウェアとして)を履き、パンツ(トラウザーズ)を履いたところで人心地ついた。  やれやれ。下半身丸出しというだけで、どうして人間としての尊厳がここまで失われなければならないのか。そもそも、それ以前に受けていた施術の方が、よほど尊厳を毀損していると思うが、それは「今は医療行為を受けている

          脱毛記18(完)

          脱毛記17

          (前回のあらすじ=脱毛の施術中に私は宇宙と一体化する) ドシュ!   私は、ようやくそこにたどり着いた。  我々は何者なのか、どこから来て、どこへ行くのか。ゴーギャンの問いは、今、東京の脱毛クリニックのベッドの上で氷解した。  真理とは、悟ってしまえば、大したことではない。それを心の底から納得できるか、心の底から信じることができるかどうか、の違いに過ぎない。ちょうど、キリスト教徒がイエスが救世主であり、ゴルゴタの丘で刑死して三日後に復活したことを信じるように、イスラム