ターシャ・テューダーのことば
かつてインテリア関係の仕事をしていたころ、お客様のお家でお茶にお呼ばれしたことがあった。
アンティークの家具をご購入いただき、無事に納品が終わり、次に設えるカーテンのコーディネートについて相談したいと言ってくださった。
ここではお客様のことをマダムと呼ぼう。
(いつもにこにこと朗らかで、上品で素敵なマダムだったので)
揃いのティーセットで紅茶とパウンドケーキを出してくださり、なんとも素敵なティータイム。
仕事の依頼の話はそこそこに、マダムの好きな映画や、過去に行った異国の話、アンティークを好きになったきっかけ...色々な話を聞かせてくれた。
若輩者の私にとってはどの話も新鮮で、(お客様だから、ではなく)本当に楽しく話に聞き入っていた。
とりわけ印象に残っているのが、マダムが好きだと言ったターシャ・テューダーの話。
アメリカの絵本作家・ガーデナーのおばあちゃまで、彼女が作るようなお庭を作りたいと憧れを語っていたマダム。
確かに、マダムはインテリアだけでなくお庭にも手をかけていた。
十分素敵なお庭なのに、そんなマダムが憧れるなんてどんな人だろう?ふと興味が湧いた。
「彼女のお庭も素敵だけれど、絵本や彼女自身の言葉が素敵なの」
マダムはそう教えてくれた。
マダムの言葉をきっかけに、何冊か彼女の本を読んでみた。きっかけを与えてくれたマダムには感謝している。
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ターシャ・テューダーは絵本だけでなく、彼女のライフスタイルや考え方についての書籍が多く出版されており、世界中のファンを魅了している。
彼女の没後、ドキュメンタリー映画が制作されている。
実際に彼女のお庭や暮らしを映像で楽しめる作品で、これがまたこころが疲れた時にぼうっと眺めるのにちょうど良い。美しい草花に癒される。
この映画を観た頃、まさにこころが迷子になってる最中だった私。印象に残ったセリフを手帳に書き残していた。
周りを気にして焦ってばかりで、
つらいことにも耐えて、今いる場所にいなければならないと意固地になっていた私にとって、水のようにすっと滲み入る言葉だった。
ガーデニングに興味がなくても、忙しない日常を忘れて楽しめる作品だ。
余談。
愛犬メギー(コーギー)がめちゃくちゃ可愛い。コーギーのにこにこ顔ってなんであんなに可愛いんだろう。