23年ぶりのボンジョルノ

お昼頃、JR日野駅近くで用事を済ませた。
近くでランチをしてから帰る事にして、ついでに散歩も兼ねてブラブラと歩いていた。すると、クレイジーケンバンドの横山剣さんのような、オシャレでダンディーなおじさんが、小さな店先に座っているのが見えた。
そこはかつて、老夫婦がパン屋を営んでいた場所だ。
今もパン屋のような店だが、あまりちゃんと知らなかった。
天気の良い清々しい日だったので、なんとなく入ってみた。

「ボンジョルノ」と、ネイティブの発音でイタリア語で挨拶された。
びっくりして咄嗟に言葉が出ず、ぎこちない笑顔で会釈するのがやっとだった。イタリア人の職人が作るパン屋だったのか。イイネ。

フォッカチオやパニーニ、カルツオーネなどが並んでいた。
イタリアが好きで、若い頃バックパッカーで半年程滞在した事のある僕も、よく知らない料理も何点かあった。
ジェラートもあるみたい。

パンツェロッティと言う、包みPIZZAを焼かずに揚げた料理を買って帰った。中身はモッツアレラチーズとトマトソースのシンプルなやつにした。

店を出ると、横山剣さん風のおじさんと目が合った。
あ、と思うと同時に「ボンジョルノ」と言われた。
イタリア人だ。となりにご婦人もいた。
なんとなく中にいた職人のご両親かなと思った。
今度は僕も「ボンジョルノ」と返せた。
背を向けて歩き始めたところで「グラッツエ」と、予想外の追撃にちょっと慌ててしまった。振り返らずに心の中で「プレーゴ」と言って、そのまま歩いて帰った。

イタリアの旅から帰国したのが2000年なので、23年ぶりの「ボンジョルノ」だった。イタリア語の響きはなんだか陽気で、聞いたり喋ったりすると楽しい気分になる事を再確認した。パンツェロッティも美味しかったので、また買いに行こう。その時はジェラートも食べよう。

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