実話 003 escalator

10年は会ってないヤツが近付いてくる
エスカレーターを下っていた私の横を
エスカレーターで上ってきている

それは間違いなく中高の同級生、西だ
向こうは私に全く気がついていない
むしろ 周りの何にも気がついていない位
まぬけヅラで1点遠くを見つめている

そのまぬけズラがエスカレーターの定速で
スムーズに私に向かってくる
交差するタイミングで、私はサングラスを外し
「ういーす」と声をかけた

お互いエスカレーターを降りて
踊り場で奇遇な再会に談笑した
すぐさま飲み会の予定を決め解散した

居酒屋のカウンターで問いた
なぜあんなにまぬけズラでエスカレーターを
上っていたのかと
西はその説明を始めてくれた
10年間の出来事を1時間半くらい聞いて、
納得した

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