nagasakix

研究家 六本木拠点に国内外を散策する長崎人

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最近の記事

実話 008 osaka

ポロっと弱音が出るのはタクシーの中だ 「明日は早朝から大阪なんだよ    いまだに行きつけのバーや    行ってみたい店がなくてさぁ    終電で帰ってこようと思ってるんだよ」 クソみたいな泣き言を隣の旧友に続けそうな、 まさにその時だった 「ぇせやったら、フグか焼肉ですねぇ」 大阪出身を豪語するタクシードライバーの参戦 耳障りの良い、観光タクシーにでも 乗っているのかってな具合に、 大阪はフグと焼肉なんだよって語ってくれる 「おぉ、大阪の悪口言う前で良かった、、」 ふ

    • 実話 007 bamboo

      淡く透き通った琥珀色のカクテルと 念願のご対面が叶う夜 アジアの言葉が行き交う混雑したバーを マッカーサー元帥は想像出来ただろうか 彼が見つめていた角度から横浜湾を一望すると きっといい未来の構図を描いていたに違いない そんなパノラマが今でも広がっている さて カクテルが出てきたのは 広めの席に移動させてもらってからだ 歴史と共に深く沈み込むソファーに身を預け 手が届きにくく 程よく足を組めない ローテーブルの上に それは置かれた おもいっきり前屈で腕をまっすぐ伸ばし

      • 実話 006 friday

        誰かと居たい夜だ でも、疲れきってて しかも、4ヶ月も髪を切ってなく ましてや、ノープランだ 仮眠のあと、無理くりパーマ予約実現した 担当のいる三軒茶屋へTaxi 完全アウェイな街で 髪型だけがキマる金曜日 サンチャってどうなの? 2度目の夜を歩くと とっくに誘い込まれていたカウンター 赤星を叩き込む 2件目3件目も9割女子、 ブス達、居酒屋にいる場合じゃないだろ? 人に言えた立場じゃない もう飲めない焼酎ロック

        • 実話 005 piano

          大学の頃、関西から来ても九州から来ても 東京に居ればそれはどちらも西から来た田舎者 取らなくてもどうにかなる授業をさぼって 関西出身の良介の下宿に上がり込む すでに彼は濃いコーヒーを1リットルくらい淹れて 準備ができていた ショパンの雨だれを弾いてくれる 晴れてようが雪だろうが弾いてくれる その日持ち込んだ恥ずかしさや悔しさを 洗い流してくれる ロン毛で楽器ができるのって 羨ましい 最近便りが来た ギターも弾けるらしい

          実話 004 taxi

          そのラーメン屋はチャーハンがうまい なにか悪いものでも入っているのか 口に入れた瞬間 身体中が漲る 友人と私はその街へと向かうタクシーで 私「まずチャーハンを食べよう」 友人「キャバクラの後でいいよ」 私「すぐ食べたい それしか見えない」 友人「ご褒美にとっておけよ」 私「ならば30分顔出して 食べよう」 友人「店に30分だけなんて 無理だよ」 私「チャーハンを買って、店に入るとか」 運転手「・・・そんなに美味しいんですね」 私「そう、ここ左へ」 折角なのでラーメン屋さん

          実話 004 taxi

          実話 003 escalator

          10年は会ってないヤツが近付いてくる エスカレーターを下っていた私の横を エスカレーターで上ってきている それは間違いなく中高の同級生、西だ 向こうは私に全く気がついていない むしろ 周りの何にも気がついていない位 まぬけヅラで1点遠くを見つめている そのまぬけズラがエスカレーターの定速で スムーズに私に向かってくる 交差するタイミングで、私はサングラスを外し 「ういーす」と声をかけた お互いエスカレーターを降りて 踊り場で奇遇な再会に談笑した すぐさま飲み会の予定を決

          実話 003 escalator

          実話 002 bomb

          俺も同じだよ とアレックスが言ったが それがどんな内容なのかは忘れてしまった アレックスとベルリンを徒歩で移動中に 趣味は車だよとかなんだかんだいろんな話をした 私の話題は、なぜアメリカに留学してたのか アメリカのサブカルチャーが好きだったから 被れに被って彼らの深層心理を知りたかった それなりにわかったよと 祖父が原爆で亡くなった後に家族は崩壊し その紆余曲折の末に私は産まれた 出来事がなかったら、私は存在していない 歩きながらそんな話のくだりで、 微笑み返すアレッ

          実話 002 bomb

          実話 001 rain

          夜中までやってる味噌ラーメン屋がある 朝までやってる場合もある カウンターに座ったのは1年ぶりかもしれない 注文から出てくるのがやたら早くなった 昔の大将はもっと、こう、とことん作っていた でも、今日はサッと出てきた 味一緒 店を出ると、アスファルトが濡れている 目の前でギュンっと車が停まって、後部ドアがあく ロングの黒髪でミニスカートの女性が乗り込んだ 喧嘩を売られるか 敬遠されるような風体の私と 恵まれた人とでは待遇がこうも明白なのだと 話のネタを強引に組み立てたタ

          実話 001 rain