実話 001 rain

夜中までやってる味噌ラーメン屋がある
朝までやってる場合もある
カウンターに座ったのは1年ぶりかもしれない

注文から出てくるのがやたら早くなった
昔の大将はもっと、こう、とことん作っていた
でも、今日はサッと出てきた
味一緒

店を出ると、アスファルトが濡れている
目の前でギュンっと車が停まって、後部ドアがあく
ロングの黒髪でミニスカートの女性が乗り込んだ

喧嘩を売られるか 敬遠されるような風体の私と
恵まれた人とでは待遇がこうも明白なのだと
話のネタを強引に組み立てたタイミングで
ラーメン屋の軒を借りている私に思わぬことが

大将がガラガラと戸を開けて顔を外に伸ばした
軒下に居られては困るよと言うのかなと
傘を手に持った大将はこれ持って帰ればという

雨音と共に小話が崩れるのを感じながら
大将からの思わぬ親切に高揚し、
家は目の前だから大丈夫と言って去った

次は1年かからず、カウンターに座ろう


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