アメリカ人の声優に聞いた!日本の作品のキャラになりきる時ってどういう気持ち? 【過去記事の紹介】
おはようございます。
企業PRと文章とカメラで生活している砂流(すながれ)です。9月8日(日)13時00分をお伝えします。
僕は14年くらいライターとしても活動していますが、この14年で惜しくも閉鎖してしまったメディアも多いです。その記事の中から一部を紹介していきたいと思います。
まずは、アメリカで何度かご一緒もさせてもらっているアメリカ人の声優ジョニー・ヨング・ボッシュさんのインタビューです。このインタビューは2017年のアニメエキスポの時のもので、後日、ジョニーさんの自宅まで突撃してお話を聞きました。
アメリカ人の声優に聞いた!日本の作品のキャラになりきる時ってどういう気持ち?
話を聞いた声優
今回話を聞いたのは、ジョニー・ヨング・ボッシュさん。日本の超有名作品やキャラクターの英語版の声を演じていて、アメリカで大人気という声優さんです。
ジョニー・ヨング・ボッシュ(Johnny Yong Bosch)
俳優、声優。アメリカのヒーロー戦隊『パワーレンジャー』のアダム役が人気を博し、さまざまな映画に出演する傍ら、声優としての活動も始める。数多くの日本作品の英語版に声優として出演しており、代表作は『AKIRA』の金田正太郎、『BLEACH』の黒崎一護、『妖怪ウォッチ』のケータなど。また、EYESHINEというバンドのヴォーカルも務める。
日本人のキャラは生活がちゃんとしていて、アメリカはだらけている。その違いを演技では意識する
ーー ジョニーさんは数多くの日本の作品のキャラクターを演じられていますが、特に思い入れのあるキャラクターを教えてください。
『コードギアス 反逆のルルーシュ』のルルーシュ・ランペルージ、『BLEACH』の黒崎一護、『デビルメイクライ4』のネロに、『AKIRA』の金田正太郎。あとは、声優を始めるきっかけになった『トライガン』のヴァッシュですね。
ーー ジョニーさんが声優を担当しているキャラクターって、どれも超有名作品の主人公クラスじゃないですか……! 日本の作品以外ではどこの国の作品のキャラクターを演じることが多いのでしょうか?
もちろんアメリカのキャラクターを演じることも多いのですが、ネットフリックスなどの動画配信サービスが流行ってからは、フランス、韓国などのキャラクターを演じる機会も増えてきましたね。
ーー 国によって文化も習慣も違うと思いますが、演じる上で気持ちとかは変わったりするものですか?
国や文化の違いから演じる気持ちが変わるということはありません。それよりも、例えば『妖怪ウォッチ』のような子供向けのアニメだと少しおバカに演じたり、『AKIRA』みたいな大人向けのアニメではシリアスにリアルに演じたりなど、役によって変えるということを意識しています。
ーー 文化が違うから演じにくい……みたいなこともないですか?
特にないですね。ただ、日本の作品のキャラクターを演じるときに意識しているのが、「キチンとすること」です(笑)。だって日本の作品のキャラクターって、朝起きたらちゃんと学校や会社に行くし、仕事もキチンとこなすし、ほんとに生活がちゃんとしているんです。アメリカの場合、学校に行かないとか怠けたキャラクターも多い。その辺の違いは意識して演じていますね。
ーー 確かに日本の作品のキャラクターって、不良でも毎日学校に行ってますしね(笑)
あとは、演じる時の気持ちや意識とは少し話が変わりますが、日本独自のジョークや習慣などを“アメリカや他の国の人が見ても不自然ではないものに変更する“ということがあります。
ーー 例えばどういったものでしょうか?
『デビルメイクライ4』というゲームで主人公のネロを演じたとき、モーションキャプチャーでキャラクターの動きも私が担当したのですが、日本人ってしゃがむときに足をサイドに広げてしゃがんだ姿勢をとったりしますよね?
ーー うんこ座りですね(実際にやって見せる)。
それです。その座り方は日本独特のもので、世界的にはそういう時は膝をついてしゃがむのが一般的です。それら日本独自の習慣や文化などが登場した時は、他の国の人が見ても理解できるものに変更するんですよ。
日本とはまったく違うアメリカの声優事情
ーー ところで、日本では今“声優ブームが来ている“と言われているように、声優が憧れの職業となっています。特に若い女性声優は半ばアイドル化しており、声優以外での活動も注目されている状況なのですが、アメリカでの声優の注目度はどうでしょうか?
日本では、アニメやゲームのキャラクターを誰が演じているかリサーチしたり、どの声優が出演するかで見るアニメを決めたりするという文化がありますよね。アメリカでは、誰が声を演じているかについては、皆全く興味がないんです。キャラクターはキャラクターという考え方ですね。
ーー その辺は日本とまったく違いますね。
アメリカのアニメが、基本的にカートゥーン(子供向けアニメ)だからでしょうね。日本のアニメには大人向けのアニメも多い。ここの違いが大きいと思います。
最近では日本の大人向けアニメに興味を持っている若い世代のアニメファンたちが、日本人のように声優にも興味を持ちはじめたことで、以前より注目度は上がってきました。アニメコンベンション(アニメエキスポのようなイベント)では、日本と似たような状況になることもあります。
とはいえ普段の生活で、声優が人気俳優のようにちやほやされるということはないですね。日本では声優の立場って俳優と比べてどんな感じなのでしょうか?
ーー 超有名な俳優さんがランク的な意味では1番となりますが、超有名な声優さんと普通の俳優さんとで比べると、若手に限ればここ2・3年の感じでは声優さんのほうがランクが高くなっているかもしれないというイメージです。
なるほど。アメリカでは映画俳優がランクの1位、次がテレビの俳優。声優は、そのずいぶん下という位置付けです。
ーー そうなんですね。
アニメのコンベンションの時に限って言えば、『スターウォーズ』や『スタートレック』などの有名な役者と一緒にサイン会をするときでも声優の列のほうが長い、ということはあります。でも本当にそれは、アニメコンベンションの時だけですね。
ーー 日本みたいに声優が人気というわけではないんですね。ちなみに、皆さんはどうやって声優になるのでしょうか? 声優学校みたいなところに通うとか?
基本的には役者になるための学校に通っていた人が、たまたま「声優が足りないから今ちょっと来て」と呼ばれて始めるケースが多いと思います。ここ最近は、声優コース的なものを用意している学校も出てきたようですが、声優に特化した学校はまだないですね。
ーー 俳優志望者が、成り行きで声優になるという場合が多いと。
そうです。
ーー なかなか声優さんにとっては厳しい状況ですね……。
確かに日本と比べればまだまだかもしれませんが、アニメ系のコンベンションは週に1回はアメリカのどこかで開催されているくらい人気があります。
私自身も、日本の人気作品のキャラクターを演じさせてもらっていることを光栄に思っています。
ーー 本日はありがとうございました。
まとめ
というわけで「日本の作品のキャラになりきる時はどういう気持ちでやっているのか?」について、アメリカ人のコスプレイヤーと声優に話を聞いてみました。キャラクターの個性や内面まで含めコスプレを楽しんでいたり、文化の違いを意識して役を演じていたりなど、向き合い方は人それぞれですね。
日本のアニメやマンガが一層注目されることで、アメリカでも声優業界がさらに盛り上がると良いなと思いました。
では最後に、アニメエキスポの会場にいた注目コスプレイヤーを一挙に紹介して終わりたいと思います!
■会場にいた注目コスプレイヤーを一挙紹介!
人数が多くて目立っていたのは『ドラゴンボール』のキャラのコスプレをしている人たち。日本と違うのは、悟空以外のキャラクターも豊富だったこと。
グレートサイヤマンや界王様。
ナッパもいました。全体的に、日本人がやるより似合っていたかも。
他に多かったのが『ハイキュー』。
そして『僕のヒーローアカデミア』でした。こちらの作品は、今まさにアメリカでもブームが来ているとか。
また、Nintendo Switchのゲームタイトル『ARMS』や
『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』のコスプレをしている人も多かったです。ゼルダは過去作品のコスプレをしている人も多く、アメリカでの人気の高さを感じます。
個人的に印象に残っているのが、『ジョジョの奇妙な冒険』の(第3部ではなく)第5部のポルナレフ。
『NARUTO』のチョウジ。
『進撃の巨人』の、岩を運ぶ巨人のエレンなど。
そして、忘れてはいけないのがアメコミヒーローたち! 何と言うか、本場の迫力がありますよね。
以上、ロサンゼルスから砂流がお届けしました。それでは、また!
ありがとうございます!!!