2割と奇貨と隠れた期待
初めて3時過ぎまで外で飲んだ。そして、あの瞬間、自分は日本の学生で最も恵まれていた。それだけの人たちと同じ時間を過ごした。今日はそんな話を書くことにする。
昨日の夜のことだ。呼んでくださった食事会に盛大な遅刻をし、焦り怯えながら入店した直後のことだった。
「お会計するから会費徴収してきてね」
ホストでありメンターである方(以後Aさん)からそう指示を受け、食事会に参加していた人たちからお金を徴収する。
お金を集めている最中、またアドバイスを受けた。
「領収書とか考えてる?こういう時に名刺を貰うんだよ!」
なるほどと膝を打ち、二度手間を痛感しながらまた名刺と名前を聞きに回る。
やっとのことでお会計を済ませ、何枚もの領収書を貰ってはお返し、ひと段落。
かと思いきや、今度はAさんからこんな指示が。
「二次会行くからどっかお店探せる?」
「歌う感じですか?」
「いや、飲む感じ。人数固まったらまた送るね」
全速力でお店の方にどこか二次会で行けるところがないかを聞いて、予約を済ませる。
場所のリンクを送ると、「ナイス」の3文字。
二次会会場までご案内し、そのまま流れるように飲み続ける時間が始まる。
とりあえずすぐに出せる飲み物をクラブのマスターに聞き、注文の確認を取る。
グラスが空いていたら次の飲み物を確認し、注文。
テキーラのショットが始まれば参加し、フリにはちゃんとボケる。ボケられたかは置いておいて。
一呼吸おいた瞬間だった。
隣の席に座られていたある凄い方が、こんなことを言ってくれた。
「俺はAさんの一番弟子なんだよ。だから俺は君の兄弟子みたいなもんだ。今日はよくやっていたねぇ。周りを見れていたし、お店の手配もお会計も完璧だった。100点だ」
「ありがとうございます!」を言う前にまだ言葉は続く。
「だからこれからはもう好きなことをすればいいんだよ。デカいこと語っていいんだよ」
これを聞いて、周回遅れでAさんの意図が分かった気がした。
多分あの人は、凄い人しかいない空間で自分が「会計や予約までを完璧にこなせた学生」という、同じ目線に立つためのストックを作るためのきっかけをくれていたのだろう。
「Aさんはね、自分が推したい人のことを絶対に見捨てないんだよ。だから離れたかったら逃げるしかない。逃げても追いかけてくるだろうけど、逃げるしかない笑」
「でもね、ここで逃げなかったら間違いなく誰よりも成長できる。俺みたいになる。そこでやっと恩返しなんだよ。だから今こうやって君に話したいんだ。俺の10年前が今の君で、君の方が周りをよく見てたよ」
ちょっと泣きかけた。ちょっと。
それからお店が閉店になるまで、ぽつぽつと色んな「凄すぎる」人たちとお話しした。よく気が回る学生として、お話をさせてもらった。
二次会からの三次会はラーメン屋だった。深夜2時過ぎに食べるラーメンは最高に美味かった。
そこでもまた違う人とお話をした。
「さっき俺の注文聞いてくれた子だね」
そこから始まる会話も、これまた金言ばかり。
ニッパチの法則。この世の中は大体2割の人が独占している。みたいな法則を、その方はさらに細分化している。
「2割の独占をさらに2割、そうなると20%が4%になる。さらに2割だと0.8%、もっといくと0.16%、もう一声、0.032%」
「常に2割側にいなくちゃいけないんだよ。俺たちは」
そう、昨日のあの場所にいた人たちは「2割側」に常にいるために死力を尽くしていた。
もはや狂気に近い執念を、当たり前のように毎日こなし、さらに深夜まで飲み歩くバイタリティ。
世間は昭和だとかブラックだとかと言うけど、多分こうじゃないと2割には立てない。
「最近の若い人ってさ、『仕事は仕事、自分は自分』でやってんじゃん?そうじゃないんだよな、俺たちにとって」
ラーメンを待ちながら、隣に座っていた凄い人(n人目)の方も頷く。
「8割の奴らがやってないことをやるだけで勝てることをやんない意味が、俺たちにとっちゃ分からないんだよ」
冷静に考えれば当たり前のことだ。昨日の自分もめちゃくちゃ頑張ったから、対等ではなくとも視線は対等にお話をしてもらえた。
8割が手放す好機や奇貨をとったから、あの瞬間に立ち会えた。
2割の打席を見逃すようなヘタレじゃなくて、本当によかった。
今はただそう感じている。
結局家に帰ったのは3時過ぎ。シャワーを浴びてベットに倒れ込んだのは4時ごろだったか。
朝起きて、濃い味噌汁を作って啜り、それからパソコンに向き合って、名刺をもらった人全員にお礼のメールを送った。
今見ても名刺でポーカーができるならどの組み合わせでもRSFが成立する名刺ばかりだ。
次も100点を叩き出したい。100点を出さないと2割には立てない。
これから会う人たちには、今の自分では絶対に勝てない。というより、土俵が違う。
多分これで就活が進むとかではない。即採用されるようなことでもない。それでも、この経験と学びと、この人は少なくとも自分のことを知っているという信頼が、自分を自信づけてくれる気がする。
これからも励み続けなくては。勉強を続けなくては。そして、少しでも昨日出会った方たちを驚かせなくては。
頭が悪いから目標はシンプルな方がいい。
2割になろう。そう決めた。
そんな話。
もしこのnoteが凄い人たちに見られたらどうしよう。笑ってもらえるだろうか。
とりあえず今日はこの辺で。ではまた。