ジム・ロジャーズ著「2030年のお金の世界地図」を読んで、自分の頭で考えて投資を行うことの重要性を学ぶ
ウォーレン・バフェットやジョージ・ソロスと並び世界三大投資家の1人に挙げられる米国の投資家(今はシンガポールに在住)、ジム・ロジャースによる2030年までの世界の経済見通しが語られた本を読んだ。
端的に言って、一般的な世界経済の見通し・こうあってほしいと通常思う経済見通しとは全く違う、ジム・ロジャース氏独自の世界経済の見通しが語られている。まさに「投資は自分の頭で考えろ」とはこのことだ、と思わされた本である。なぜなら、周囲の常識から距離をとり、自分の頭で考え、冷静に事実と向かわなければ辿り着けない持論ばかりが述べられているのである。
例えば、以下がその一例である。
米国、英国、日本は今から衰退する。
これからの投資有望先はロシア、中国である。
今後の世界の覇権は、衰退する米国に代わって中国が握る。
具体的な投資有望国は、中国、ベトナム、サウジアラビア、ルワンダ、ウズベキスタン、コロンビアである。
インドは経済大国になれない。
ジム・ロジャース氏は、これまでの経験則に裏付けられた独自の判断軸をもとにこうした結論を導き出している。
なお、その独自の判断軸とは大まかに言えば以下の通りである(MECEではないことはご留意ください)。
国のバランスシートを見よ。債務の多い国は沈む。
労働人口が多い国は成長する。
大転換は戦争・災害・指導者によって生まれる。
戦争終結後は一時的だが国の経済が回復する。
お金は「安心」「リターン」「開放性」があるところに集まる。
歴史上、まとまりのない国は成長しない。
彼の判断軸によれば、日本は上記の1と2に該当することから将来の見通しは暗く、米国は1に該当し、またトランプ大統領の再選により、5にも該当しなくなっていることから、今後の成長見通しは描きずらい。
もちろん、彼の判断軸が全て正しいとは限らないし、実際にはまた誰も想像がつかない2030年が待っているかもしれない。だが、重要なことは、誰かの意見に従うのではなく、自分自身で考えた将来見通しに従うことである。
したがって、大事なことは、この本で示された独自の経済見通しを鵜呑みにするのではなく、これを一つの参考情報として自分自身の経済見通しを持つことである。そう思わされた著作であった。