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PEファンドのマネジメントフィーの水準は低下傾向にある(除くベンチャーキャピタル)、という記事をまとめた

昨年、PEファンドの一般的なマネジメントフィーの水準についてまとめた記事を書いたが(上記リンク先ご参照)、その後の直近の2024年のマネジメントフィー水準の動向がわかる記事レポートをPreqinのウェブサイト上で見つけたので、以下要約したい。

現在のPEの資金調達環境はどうやら買い手市場のようだ。ファンドマネージャーたちは出し渋る投資家から資金を集めるために、マネジメントフィーの切り下げ(特にファーストクローズまでに参加した投資家に対し)、共同投資時のフィー削減、等のインセンティブを投資家に与え続けている。以下、そのうちのマネジメントフィーの切り下げ状況について記載する。

  • グロースエクイティ:2023年がビンテージイヤーのファンドのマネジメントフィーは中央値は1.97%であったのに対し、2024年がビンテージイヤーのファンドの中央値は1.93%と、若干下がっている。

  • バイアウト:2023年がビンテージイヤーのファンドのマネジメントフィーは中央値が1.85%であったのに対し、2024年がビンテージイヤーのファンドの中央値は1.74%と、こちらも下がっている。

  • 上記のグロースエクイティとバイアウトファンドについては今後ともファンドレイズが苦戦するだろうという見通しが立つ中、2026年頃までは投資家のお金を集めるためにも、マネジメントフィーの引き下げが続くことが予想される。

  • プライベート・デット :過去10年間、マネジメントフィーの平均レートは1.7%前後で、中央値はおおよそ1.75%から2%の間で推移している。

  • 不動産: もともと不動産ファンドのマネジメントフィーの水準はベンチャーキャピタルやバイアウトと比べて低いのだが、それでも2024年はここ20年で最低水準の1.31%をつけている。

  • ベンチャーキャピタル :他のアセットクラスと比べても高いマネジメントフィーを投資家から収受しているのがベンチャーキャピタルファンドである。2012年以降、マネジメントフィーの中央値は一貫して2%で、平均値も2%前後で変動している。2024年にクローズしたファンドおよび現在募集中のファンドのマネジメントフィーは、中央値2.05%、平均値2.24%と若干上昇している。

  • インフラ:インフラファンドの平均的なマネジメントフィーの水準は2023年に2%を超えたが、足元2024年は資金調達環境の悪化に伴い、低下傾向にある。

ベンチャーキャピタルを除き、ほとんどのPEでマネジメントフィー水準が低下した背景はなにか。それは足元のプライベート・エクイティ市場の資金調達に多くのファンドマネージャーが苦戦していることが背景にある。

プライベート・マーケットの資金調達額は2021年に15億ドル近くでピークを迎えた後、2023年には20%減の11億ドル以下にまで落ち込んだ。さらによくない情報なのだが、プライベート・デット資金調達環境は2026年まで、プライベート・エクイティの資金調達環境は2027年まで改善しない、と予測されているのだ。アセットクラスや地域によって異なるが、資金調達の逆風がファンドの手数料や条件に影響を及ぼしている。


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