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Moment 2023 聴講記録 (2)
前回の記事に続き、主だった講演の内容を以下記載したい。
ファイアサイドチャット ベン・ホロウィッツ(a16z, Co-Founder)×伊佐山元(WiL CEO、モデレーター)
(以下、ベン・ホロウィッツ氏の発言)
1.スタートアップ投資から見たテクノロジーの進歩について
テクノロジーそのものに善悪はない。それをどう社会に実装するかがポイント。
スタートアップ投資という観点では、正しい企業・正しい経営者がテクノロジーを用いてよい製品・サービスを作っているかどうかが重要。
タイミングも非常に重要。例えばAIについては過去複数回に亘るAIブームがあった。
(今課題となっている気候変動等の社会課題は、ベンチャー投資としてのリターンが上がりにくい領域にも思えるが投資妙味はあるか、との問いに対し)投資妙味はある、というのが答えだ。TeslaやSolarCityを見ればそれは明らかだ。ただし、再生エネルギー、核融合技術等の領域は政府の規制の影響を大きく受ける領域であり、その意味では政府の役割は大きい。政府次第で魅力的な投資対象に変貌する。企業のカルチャーについて
2.企業のカルチャーについて
カルチャーはどう行動するか、で決まる。どう考えるか、では決まらない。単に「清廉潔白でありたい」というだけでは意味が無い。重要なことは清廉潔白な行動をしているかどうかである。
A16zにはファーストクラスのビジネスをファーストクラスの方法で行うという決まりがある(We do only first class business and only in a first class way)。それを行動で示す。
具体的には、起業家との面談に遅れた場合、いかなる理由であっても1分の遅刻につき罰金10ドルとすること、投資を断るときは敬意を示し、なぜ投資をしなかったのか、を具体的に丁寧に説明を行う。
3.日本のエコシステムについて
日本にはあれが足りない、これも足りないという議論が多い。まず日本に今存在するものから話をしたい。
日本には素晴らしい人材、素晴らしい学術機関が存在する。
課題があるとすれば、アジアの起業家がビジネスを始めようとした場合、日本がファーストオプションにならないとうい点だろう。起業家はまずシンガポールでのビジネスを考えるのではないか。
こうした状況下、日本の経済産業省Iは現在、スタートアップにとってアジアで最高の環境を作ろうとしており敬意を表する。
今般、経済産業省にスタートアップ関連施策を新旧対比表で見せられたが、重要なのは過去との比較ではなく、シンガポール等の他国との比較でどうあるべきか、どうしたいかであり、その点について経済産業省に伝えておいた。
寄らば大樹の陰的なサラリーマン精神が仮に社会に蔓延していたとしたら、それは起業家精神とは相いれないことが多い。うまくいきそうもない状況から突破口を開こうというのが起業家であり、こうした起業家が今後でてきてほしい。