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本屋さんを目指して. 9 「本屋を建てる」

今、僕はものすごく中途半端な状態で本屋と向き合っています。
それは別にここに書くことでもないくらいに、本屋の方々には「フーン」くらいのことです。僕が本屋になる、ならないなど大したことではないのです。

と、やや自虐的になりながら、こんな感じの僕を面白いと思ってくれる希少な皆さんに向けて、あいつ、本屋に向かって大丈夫か、くらいの興味で
お付き合いいただけると嬉しいです。とはいえ、僕はここに書き残したいほどに
本屋になりたいのです。

本屋になりたい人はたくさんいますし、その人それぞれのやり方で本屋に突き進んでいると思います。
故郷愛知でのこと。知り合った女性が「私、本屋なんです」というので「店に行ってみたい」というと住所をくれました。行ってみるとガチで自宅でした。しかも旦那さんと2人暮らしの。ドキドキして入ると本屋の気配はなく、普通の自宅に置いてある程度の量と本棚の様子を「本屋」と言っていることがわかりました。結局、どれか一つ選んでください、と、言われましたが、選べませんでした。ほとんど、持っているか、読んだ本だったからです。ま、終始こんな感じの様子で、僕は無事に脱出しました。そして、ここにそれを書くほどに「ああいう人もいるし、ああいうものも本屋って言っちゃえるんだ」と思いました。

なぜ、この話をここに書くかというと、自分もそんな感じに近いと自覚しなくては本気で本屋をやっている人に申し訳ないと思うからです。とはいえ、こんな話も、プロの本屋さんにはどうでもいいことです。

さて、今回も負け惜しみです。笑
むかついてきた人はここまでにしておくといいかもしれません。

僕は今、デザイン会社は27年と雑貨屋さんを立ち上げて24年目。社長は譲ったものの、デザイナーも店の店主もやっています。たまに講演に呼んでもらったり、京都ではラジオ番組をレギュラーで持たせてもらっています。実家は母と静岡富士宮市。偶数月は沖縄にいて、将来は沖縄に定住したいと思っていて、特に「デザイナー」としての活動であっち行ったりこっち呼ばれたりしていて、つまり「落ち着かない」のです。

唯一、今、落ち着くのは「沖縄宜野湾のアパート」と「静岡の実家」そして「愛知の店の中の古書店」なのです。愛知の古書店とは言っても町の皆さんと「町に本屋を作ろう」と呼びかけた「古書市」で集まってきた本たち。僕の選書というよりは、町のみんなで本屋を作った感じで、でも古本屋には変わらないので、戦略はありませんが、本に囲まれて人の選書ですが、手にとって眺めて、斜め読みしたりして「面白い」と思えばコメントを書いて面出ししたり、ネットにあげたりしています。もちろんこれを「古書店業」などと呼べないことはわかっているのですが、未来の僕の古書店のベースになることには間違いありません。隙あらば、ここからみんなが「オッ」と言うくらいの本屋を目指して作り込んでいきたいと思っています。

さて、冒頭に変わった本屋の話を書きましたが、彼女も僕も「とにかく本屋をやりたくて、ママごとみたいなことかもしれないけれど、本屋を目指したい」わけで、僕もこの「町民との古本屋」が、僕の本屋の基礎になる。そして、そのアフーローチの仕方は人それぞれ。場所がある人は、その場所から始めるでしょうし、もともと実家が本屋なら、羨ましいですが、そこがその人のスタートライン。羨ましいと言いましたが、その人にとっての茨の道なのかもしれません。
タワーレコードの創業者、ラッセルソロモンの実家はドラッグストア。彼はその一角「タワードラッグ」の軒先を借りてレコード販売を開始したのが「タワーレコード」。そんな人もいるでしょう。

僕は故郷阿久比町に自分が創業した店「D&DEPARTMENT」のちっちゃなバージョンを作りたくて、クラファンと会社のお金で立ち上げました。その一角に本当に趣味だった本の世界を「町の人」を巻き込んで「古書店」として立ち上げた。
会社があったこと。その会社をほぼ引退していること。とはいえデザインの仕事で出張が多かったこと。もともとD&DEPARTMENTの原型はリサイクルショップで、昔から「古物商」の免許を持っていたことなどから、古書商にいく道筋があったのでした。そして、応援者がいてくれることが、僕に「クラファン」と言う資金を集める手段を与えてくれている。ならば大好きな沖縄のことも、そんな支援者の皆さんと共有したい。ならばみんなで古書店を沖縄につくり、その横にその人たちが泊まれるBOOK HOTELを作れば僕はその横で古書店ができる。

ビーチまで徒歩1分です。


と言うことで、土地を探し、4年目で土地を見つけ、そこに「古書店を建てる」ところまで進んでいます。

つづく

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ロングセラー「ナガオカケンメイの考え」の続編として、未だ、怒り続けているデザイナー、ナガオカケンメイの日記です。

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あの「ナガオカケンメイの考え」の続編です。基本的に怒っています。笑なんなんだょ!!って思って書いています。

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