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2022J3リーグシーズンプレビュー⑤

 ここまで2022J3リーグのシーズンプレビューとして各クラブをしょうかいしてきました。残すところあと2クラブです。その2クラブとは「松本山雅FC」と「AC長野パルセイロ」になります。
 今回の記事では私の応援するパルセイロの宿敵、松本山雅FCについてシーズンプレビューをまとめ、J3で、いや日本で最も熱いダービーと言っても過言ではない信州ダービーについて触れていきたいと思います。
 松本山雅FC以外のJ3クラブシーズンプレビューが気になる方は関連記事からぜひ読んでみてください。2022J3リーグをより楽しく観戦・応援ができるようになります!

①2021の松本山雅FC

 昨季J2リーグを戦い最下位&J3降格という憂き目に遭った松本山雅FC。J1経験クラブがJ3に降格するのは、大分トリニータ(2016所属)以来2チーム目となりました。
 2021シーズン初めのチームビルドに苦戦した印象で、セルジーニョ(→大邱FC)や杉本(→アビスパ福岡)、高橋(→湘南ベルマーレ)、前田(横浜Fマリノス)らの引き抜きと合わせて27人の選手が移籍、24人の選手が新加入しました。2019-2020間にあった反町監督体制からの脱却に加えて、チームの骨組みが変わるほどのオフシーズンとなったため変革期が嫌な方法で作用してしまったシーズンになってしまった可能性が高いと思っています。
 柴田監督の元でJ1復帰を狙いますが、開幕から勝てない状況が続きシーズンの早い段階で最下位も経験することになりました。リーグ戦折り返し手前で監督を名波監督に、コーチに三浦文丈氏を据えて巻き返しを図りました。しかし、オリンピックでの中断期間後も得点力の薄さと失点の増加に悩まされ続け、夏加入の伊藤選手やセルジーニョ選手も再建の柱になることができませんでした。

②2022の松本山雅FC

 近年の不調は変革の副作用と判断しても間違いではない内容であったかと思います。そう考えると1年でのJ2復帰に欠かせないのは、チームスタイルの再構築と定着ということになってくるでしょうか。
 名波監督が昨季に引き続き指揮を振ることになり、J3初年度を0から始めるという最もJ2経験クラブにとって大変なスタートになることは回避しました。また、主力の流出は最小限にとどめたオフシーズンになっており、昨季FWの中核である数名が個人残留を決めた形でした。つまり、カテゴリーが変わるタイミングで指揮官とチームの土台を失うことなく新シーズンを迎えられたということです。
 スカッドの厚さでは共に優勝候補と目されるFC岐阜さえ凌ぐ陣容になっていると言えます。実績十分の安田選手、松本山雅FC黄金期を知る中盤の要であるパウリーニョ選手、J3で戦ってきた三ツ田選手、山本選手、アカデミーの星である小松選手らを完全移籍・期限付きからの復帰で獲得しました。
 前評判ではもちろん昇格候補筆頭と噂されていますので、今季のJ2昇格レースを牽引する結果が期待されるでしょう。実績十分な選手・監督がいても必ず昇格できるほど甘くないJ3リーグ。バランスも良く、個々のタレントも擁する松本山雅FCが、降格の先輩である大分トリニータと同じく1年でのJ2復帰を達成することができるのでしょうか。

③Jの舞台に歴史を刻む『信州ダービー』

 AC長野パルセイロサポーターである私にとって待ちに待った信州ダービーが今季実現します。
 両クラブがJリーグに加盟する前から地域リーグやJFLで行われていたことは知っています。しかし、2014シーズンからパルセイロのサポーターになった私にとって、公式戦での信州ダービーは夢の対決でした。なぜなら、松本山雅FCがいち早くJ2昇格を達成して以降、パルセイロはJ3の番人として昇格をあと一歩で逃すシーズンが続き、J2に参入した松本山雅FCは2度のJ1昇格を達成するなどして公式戦で対戦するチャンスが全くなかったのです。
 同じ都道府県に本拠地を置くクラブですから、カテゴリーが違っても対抗心がなくなることは一切ありませんでした。しかし、パルセイロを応援し出した頃から常にカテゴリーとしては「松本山雅FCが上、パルセイロが下」という構図になっていたので、どこかに羨ましい気持ちもありました。また、J1に行っても各クラブから認められるサポーターの熱量は、ライバルチームでありながらも、同じ県のサッカー文化を盛り上げる仲間として誇らしい気持ちにもなりました。
 パルセイロがJ2昇格を達成し、自力で掴んだ挑戦状を叩きつけて対戦したかったですが、お互いに納得のいく結果が出せずにJ3で再会することになりました。同じカテゴリーになってしまえば昇格を争うライバルチームの一つでしかありません。全力で勝利を目指して戦いましょう。もちろん、相手クラブへのリスペクトは忘れずに信州のサッカーを盛り上げる最高のライバルとして...。

④これまでの信州ダービー

 私の調査で確認できたリーグ戦での信州ダービーは計10試合です。各対戦の結果は以下の通りとなります。

2006年 (※パルセイロは長野エルザ時代)
・北信越1部 第1節  長野 0-2 松本
        第11節  松本 2-1 長野
2007年
・北信越1部 第4節  松本 0-1 長野
        第12節  長野 0-3 松本
2008年
・北信越1部 第7節  松本 0-0 長野
        第14節  長野 1-0 松本
2009年
・北信越1部 第5節  長野 2-2 松本
        第12節  松本 1-1 長野
2011年
・JFL      前期第8節  松本 2-1 長野
      後期第1節  長野 1-1 松本 

 リーグ戦の通算戦績は、松本山雅FCの4勝4分2敗となっています。当時の試合を見ていたわけではありませんが、かなり拮抗した試合であったことが想像できます。
 また、なんと言ってもこのダービーの魅力はカテゴリーに似合わない観客動員数です。JFL前期第8節に行われた信州ダービーは、Jリーグ参入前なのに1万人を超える観客が見守る中行われました。前述したように松本山雅FCサポーターの熱量は上位カテゴリーからも一目置かれているレベルなので、毎回アルウィンの方が入場者数は多いです...。ただ、Jリーグでの初対戦は5月15日のUスタになりますから、記念すべきこの試合を緑で埋めさせるわけにはいかないです。パルセイロサポーターの力を合わせて長野を、Uスタをオレンジに染めましょう!
 余談ですが、J3リーグの最大観客動員数は16,027人(ロアッソ熊本vsG大阪U-23)。Uスタの収容人数が15,491人ですから、5月15日に記録更新することは物理的に不可能です。しかし、アルウィンの収容人数は20,000人なので、J3記録を樹立する可能性があります。また、予定では第31節になっているため、シーズン終盤双方のクラブの昇格可否がかかっていることも考えられますし、コロナ禍の試合運営状況に変更があれば声出し応援可能であることも考えられます。諸々の条件が揃えば、熱狂の渦の中での信州ダービーが繰り広げられるかもしれません!
 他Jクラブのサポーターの方も一度観戦に訪れてみてはいかがでしょうか。もちろん、パルセイロ側として...(笑)

⑤3度の対戦可能性

 松本山雅FCがJ3に降格してきたということは、リーグ戦の信州ダービー再開だけを意味しません。J1,J2所属クラブに与えられていた天皇杯本戦出場権を失った松本山雅FCは、パルセイロと同様に長野県サッカー選手権で優勝して本戦出場権を獲得する必要があります。つまり、天皇杯長野県予選で3つ目の信州ダービーが行われる可能性があります。

大会日程&トーナメント表

 パルセイロは準決勝からの登場、松本山雅FCは決勝からの登場になります。つまり、天皇杯出場を決めるためには準決勝を是が非でも勝ち、信州ダービーにも勝利する必要があります。近年パルセイロもアルティスタ浅間や松本大学サッカー部に苦戦を強いられる大会が目立ちます。Jクラブの意地を見せて決勝に進出し、信州ダービーの挑戦権を掴み取りましょう!
 準決勝で勝つことができれば、パルセイロにとってトーナメント2戦目である一方、松本山雅FCにとっては1戦目ということになり部分的に優位に立てる可能性すらあります。

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まとめ

 超J3級のスカッドを保有する松本山雅FCは、昨季途中からの土台を強化してJ2昇格を達成したいところです。他J2クラブ経験クラブやJ2未経験クラブが、松本山雅FCの昇格レース参加に待ったをかけるシーズンになるのか。評判通りの強さを見せて1年でのJ2復帰を達成するのか、いずれにしても今季のJ3リーグで話題の中心になりそうな松本山雅FCに注目です。
 昇格争いも信州ダービーも絶対に勝つ!!!

※松本山雅FCとAC長野パルセイロの対戦日程
 ・5月15日 @長野Uスタジアム
 ・10月30日 @サンプロアルウィン
 (天皇杯長野県予選決勝 5月8日)