【木曽】私道かぴさん 木曽めぐるナンチャラホーイ 〜木曽ペインティングスで上演。短編演劇「木曽、わたしたちのまつり」本番編1〜
NAGANO ORGANIC AIR木曽では劇作家・演出家の私道かぴさんが、3回のリサーチと滞在を経て、短編演劇「木曽、わたしたちのまつり」を制作。本作は、10月22日に王滝村・八幡堂で行われた「秋の後夜祭」と、23日に木曽町(旧日義村)・義仲館で行われた木曽ペインティングスのオープニングで、俳優の沢栁優大さんにより演じられました。
10月23日の様子を2回に分けてお伝えします。
上演の詳細はこちら↓
アーティストが地域につくる「ぼくらの美術室」
私道さんの短編演劇が行われたのは、ホストのひとつである木曽ペインティングス実行委員会が主催する芸術祭、木曽ペインティングスVol.6「僕らの美術室」の初日に行われたオープニングレセプションでした。
義仲館は中山道木曽路の宮ノ越宿にある資料館で、平安時代の武将・木曽義仲と巴御前らの歴史を後世に伝えることを目的として設立。2021年のリニューアルにあたり、長年にわたり義仲や巴についての調査研究を行っている「義仲・巴ら勇士讃える会」のメンバーとアーティストのコラボレーションで生まれた絵画や映像作品などを展示しています。また、ライブラリーやショップを備えたまちの情報拠点としても存在感を放っており、訪れる人の想像力と交流を刺激する場所となっています。
義仲も地域の人もうれしい秋祭り
義仲館駐車場や元食堂の巴庵では、1日をとおしてステージショーやワークショップが行われました。
秋晴れの一日、地域の人が次々と訪れて思いおもいに過ごしていました。近隣のカフェが淹れてくれるコーヒーを飲み、顔見知りのステージを一緒に盛り上げる、まさに地域の芸術祭。木曽ペインティングス代表の岩熊力也さんが所属する猟友会日義支部の支部長・巾恒美さんは「若いアーティストがたくさん来てくれてうれしい。子どもたちにも、ものすごく響く感動があるはず。義仲も喜んでいると思います」とおっしゃっていました。
元食堂裏庭が芝居の舞台に
私道さん・沢栁さんの短編演劇が行われるのは、義仲館と巴庵の間にある芝生のスペース。
食堂閉店後に空き家になっていた巴庵は、岩熊さんによる展示&イベント会場「200年後の木曽地域を想像する部屋」に。絵画や人形、造花などで彩られたポップな展示は「2222年の木曽アイランド」という架空の世界を舞台にしたもの。地球温暖化などを連想させるさまざまな問いかけに対して、鑑賞者が自身のアイデアを壁に貼っていくことで作品に参加でき、訪れた人誰もが地域の未来を創造できる空間でした。
巴庵はワークショップ会場にもなっていました。午前中は、もうひとりのNOA滞在アーティスト舒達さん、午後はドイツのアーティスト、フィーとナディーンさんが担当しました。
私道さんと沢栁さんも、午前はステージや食事を楽しみ、午後は車で20分ほどのところにある木曽ペインティングスの別会場へ。木曽ペインティングスVol.6は、木曽路に点在する5つのエリアで展示が行われており、この日は舒達さんの作品がある小木曽エリアを中心に鑑賞しました。古民家や納屋を展示会場とし、地域の歴史や文化、生活道具から生まれた現代アートに触れ、「これに値するクオリティをやりたいな、という気持ちになった」と沢栁さん。
午後2時半に義仲館に戻ると、沢栁さんは準備のために義仲館の一角へ。一方の私道さんは移動本屋の前でのんびり読書をして過ごしていました。
夕方4時。義仲館の濡れ縁に人が集まり、いよいよ短編演劇「木曽、わたしたちのまつり」の上演時間になりました。
(本番編2へ続く)
(文:水橋絵美)