柳家一琴 さだまさし作 新作落語「犬のお伊勢参り」上・中・下 通し口演 いわき公演開催に寄せて⑦ ーー 2019年、国技館での『芝浜』
2024年12月7日(土)にいわきPITで開催する「柳家一琴 さだまさし作 新作落語「犬のお伊勢参り」上・中・下 通し口演」に向けて、見どころや、開催に至るまでの経緯などをご紹介していきます。その7回目。
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元号が改まり新しい時代に入った令和元年(2019年)の大晦日。両国国技館で行われた、さだまさしさんのカウントダウンコンサート。オープニングのさださんの歌のコーナーが終わると、いきなり、
「今日は大晦日です。だから、大晦日を題材にした落語『芝浜』を聴いていただきましょう」
という声ともに呼び込まれたのが、誰あろう柳家一琴師匠でした。
東西南北。四方を客席で囲まれるという、落語を演じるには厳しい空間に約10,000人ものお客さま。どよめきと好奇の視線を一身に浴びながら、師匠は長い花道を粛々と歩いて登場します。本来なら上演に45分も50分もかかろうという人情噺の大ネタを、師匠は約23分(筆者の手元の計測)に縮めて口演し、誰も予想だにしなかったサプライズ企画を成功に導き、大喝采を浴びました。
のちに一琴師匠から伺った話だと、もともとこの舞台でさださんが師匠のために書き下ろした新作落語を初演するという話があったとのこと。それが、諸事情と、そもそも全編を演じたらそれだけで数時間に及ぶ噺を披露したら、コンサートの時間がなくなるという理由もあって(苦笑)、『芝浜』を演ることになったそうです。しかも、当初さださんからはこの大ネタを「15分でやるように」と指令が出て、まじめな師匠が、15分に縮めて当日を迎えたところ、さださんから「15分じゃ短い。30分でやれ」と指令の出し直しがあり、本番は、間をとって23分に収めたという……。寄席を始め数々の高座で鍛えられた師匠のプロ根性、職人気質(かたぎ)を感じさせるエピソードだと思いました。
それまで、歌舞伎座、日本武道館などで口演した落語界の大看板はいましたが、国技の聖地で落語を披露した落語家はかつていなかったはずです。落語史上においても歴史的な舞台での成功がきっかけとなり、さださんのカウントダウンコンサートで「芝浜」を聴く企画は毎年の恒例行事になり、春風亭正太郎(現・柳枝)さん(コロナ禍のため東京国際フォーラムからオンラインで口演)、柳家三三さん、立川談春さん、春風亭一之輔さんが相次いで大役を勤めています。(つづく)
公演概要
柳家一琴 さだまさし作 新作落語「犬のお伊勢参り」上・中・下 通し口演
日 時 2024年12月7日(土) 14:00開演(13:30開場 16:30終演予定)
会 場 いわきPIT(福島県いわき市平祢宜町5-13)
出 演 柳家一琴 太田その(お囃子) 柳家ひろ馬
木戸銭 一般 3,000円(当日現金払いのみ)
学生 無料(要事前予約)
ご予約・お問合せ
実行委員会 電話090-4071-1972(長野)
下記のリンクからgoogle formでのご予約も可能
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