なのにね、棄却通知には
今日ね、決定の通知が届いたっですよ。棄却だそうです。水俣病じゃない理由は地域に被認定患者が少ないこと。家族に漁業従事者がいないこと。家族に認定患者がいないこと。 Aさんは、県からの文章を読み上げました。
でもね、親父は船を持っていて、私は一緒に漁に出ました。漁師として登録して働いた人だけじゃなくて、そこに住んでる人はみんな魚を食ったでしょう。それにね、私の家族には認定患者が「いない」んじゃあなくて、水俣病になりたくなくて、認定申請しなかったんだよ。県の文章はね、全体に上から目線だよ。最初からずーっとそうだったけど、最後までなんだね。
普通はよほどの犯罪者ではない限り、文書内で誰かのことを指すときは殿とか、様をつけるでしょう。なのにね、棄却通知には、文書内の宛先に住所が書いてあって、その次に、名前が呼び捨ててある。
電話の対応だって不親切で、これじゃあ申請をやめる人も多かろう。だけどね、私はもう八十になる。あとがないんですよ。
話を聞いていく中で、お話をしに来られるのは難しそうだと思って、伺いましょうかと尋ねたら、「こんなふうに扱ってもらって良かとやろうか。申し訳ない」「こんなふうにしてもらってこんやったから本当に、ありがたくて」と言うこの人に、えー!この対応がありがたいなんて、一体どんなふうに扱われたんだよーとツッコみたくなりました。生まれてすぐに亡くなってしまったお子さんのこと、体のしびれや痛み、頭痛にめまいのこと、もっと他にもお話したいことはあっただろうけど、1回30分の自分の中のお約束を守って終了。30分でも、もうヘトヘトです。