食から読むギリシャ神話 〜悲しい恋のアーモンド 後編 イタリアのアーモンド料理〜
古代ギリシャの神話にも登場するアーモンド。イタリアではどのように食べられているのでしょうか。
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古代ギリシャ人が持って来たというアーモンドは、今でも主なる移住地であったシチリアとプーリア州が最大生産地で、その2か所だけでイタリア総生産量の95パーセントを占めている。
二月から三月に桜のような花をつけるアーモンドが実るのは初夏。このころのアーモンドはまだ柔らかく、固いはずの核の部分も手で割れるほどで、中の種はまだまだジューシーだ。これが秋になると果肉が二つに開き、出てくるのはあのカリッとした私たちの知るアーモンド。
ドルチェの飾りにしたり、もちろんそのまま丸ごと食べてもおいしい。それをすりつぶして水で薄めがたのがアーモンド乳。シチリアのバールではブラッドオレンジのジュースと共にならんでいて、むくつけきシチリア男が本当に美味しそうに飲む姿をよく見かける。
このアーモンド乳で作ったのがシチリアを代表するビアンコマンジャーレで、こちらもまたシチリア男の大好物。固めるのに日本でほとんどがゼラチンを使っているが、本場の物は小麦のデンプンで固めたものだ。ゼラチンはすっきり、小麦のデンプンはねっとりといった食感の違いがあるので、本物を求める人はシチリアに行った時にお買い求めになることをお勧めしたい。だってこの品物、他の地では手に入りにくくローマでさえ見つけるのは難しいのだから。
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リゾットの歴史と地方性やニョッキはどこから来たのか。
そして過去に書いたエッセイなどを掲載します。
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