インターバル
1日4時間の停戦。
人道回廊二ヶ所設置。
戦争と戦争の間の平和。
次の戦争までの4日間の、
4週間の
4ヶ月間の
4年間の
40年間の
400年間の
4億年の
平和。
どれだけ長く続いても、平和は戦争のインターバル。
平和にアラームがかけられている。
現実に目を覚ませと。
また今日が始まった。
次の4時間までにまた何人が亡くなるのだろうか。
それでも買い物に行き、料理をし、近くにミサイルが落ち、子どもに大丈夫とウソをつき、また今日もわたしは4時間の平和まで生きられた。
次の4時間までにまた何人が亡くなるのだろうか。
それでもつかの間の休息に、砂埃だらけになった台所で洗濯をし、コーヒーを入れて、赤ん坊が呼吸をしているか確かめる。
ここには、攻めも守りもありません。反転攻勢も、専守防衛も、奇襲攻撃もありません。ここは、わたしの家だから。
腕時計のアラームがなった。今日もまた戦争が始まった。
仕事がうまくいかない時でも、またチャンスがあると思って生きてきた。
今は、戦争が用意された明日が来る。
午後、家族連れが住むマンションにミサイルが当たった。儚さとは果てしなくかけ離れた轟音と一緒に、たくさんの命が消えたことがわかった。4時間の平和まであと2時間だった。
ミサイルはそのまま矢のように振り続け、今日はついに4時間の平和は来なかった。それでも、また明日が来たと言えるのだろうか。食卓でひとり、砂埃を息で払いパソコンを立ち上げる。
ここには、攻めも守りもない。政治も、恨みも、強欲もない。ここは、わたしの家だから。
その家もついになくなりました。外には戦争しかありません。
でも、わたしは銃を手に取りません。わたしは、わたしの中に住んでいます。そこは誰にも壊せません。あの4時間のインターバルもありません。静かで、あたたかく、思い出の愛に溢れ、永遠に平和です。少し寂しいことを我慢すれば、独りでだって幸せに生きていけます。
そして、人生の最期にはこう思えることでしょう。
わたしはわたしの平和を生きることができたと。
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