友だち [小田原日記]
年末は、何年かぶりに自宅でゆっくりする時間がとれました。息子は小学校3年の冬休みを満喫するように、グウタラと漫画を読んでいます。
ゲームを週一回1時間と決めているせいか、他の子どもより漫画少年になっているようで、今は「夜桜さん」と呼んでいる現在連載中の漫画の他、「スラムダンク」にもはまっているようです。和室で寝転がって漫画を読んでいるうちに眠ってしまった息子の周りには、年季の入ったスラムダンクの単行本がたくさん転がっていました(漫画好きが認められ、妻の弟、つまり彼の叔父さんから全巻譲渡されたものです)。
その中の一冊を手に取り、パラパラと中をめくっているうちに、懐かしい光景が頭の中に浮かんできました。それは、おそらくぼくが高校生の頃だったと思いますが、ある年の大晦日を親友の部屋で過ごしていました。二人で何も喋らずに、ただ黙々とすでに何度も読んだスラムダンクを読み直していたという思い出です。あちらのご家族にはとても迷惑だったと思いますが、あの頃はそんな事すらわからないほど、まだまだ子どもでした。
友だちとは、一緒にいるだけで一言も話さなくてもいいのが不思議ですね。その友だちとは今でも一年に一回くらいのペースで会います。お互い外見も中身も歳をとっているのに、会うとその頃のままという感じがして、これは人生の発見です。あの頃に戻るという感じでもなく、ああ、たぶんこれがきっと「心友」というやつなんでしょうね。
夕飯の買い物を済ませて、歩いて自宅まで帰っている途中、小田急線の線路を挟んだ向こう側の道で同じ部活のジャージを着た中学生の女の子たちが自転車の二人乗りをしようとしていました。とってもヘタクソで、ちょっと進んだらすぐによろよろと止まってしまうのです。それでもキャーキャーと騒ぎながら、再度チャレンジしていました。ぼくも子どもの頃はよく二人乗りをしていたので、しばし懐かしく眺めていました。
昭和生まれの僕たちの時代は、小学生の頃は友だちと、その内、恋人となど、二人乗りをしていた様々なシーンが思い出の中にあると思います。しかし、いつからか二人乗りをしているとお巡りさんに注意されるようになり、その内交番に連れていかれるようになり、やがて二人乗りはしなくなりました。そして、その辺りから次第に自転車自体からも遠ざかったように思います。
今は、友だちと二人乗りしている子どもというのはまったく見かけなくなりました。それどころか、自転車で集団で移動する小学生や、外で元気よく遊んでいる子どもを見かけることすらとても少なくなってしまいました。そんな中、さっきの女子中学生たちには、なんだか昔と同じ「子どもらしさ」を垣間見たようで、へたくそな二人乗りを見ながらおもわず心の中で「がんばれ」と応援していました。
・・・
●マガジン[小田原日記]はコチラから