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真昼の遊霊

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学校の文芸部で書いた作品を掲載しています。各作品の製作制限時間は10分です。さあ、続きを書きましょう。
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2020年9月の記事一覧

ゴーストへ

彼にダイヤモンドをあげた。 透明なキラキラしたダイヤモンドをあげた。 彼は喜んで受け取ろ…

ながめ
4年前
6

林檎のお話

あかい。まるい。おおきい。うまい。「あまおう」である。はたしてこれは本当にイチゴを指す形…

大蒜
4年前
4

煙草

タイトル通り煙草について書きます。 こんなのを書くくらいだからもちろん僕も喫煙者なんです…

大蒜
4年前
5

ミルク色で満たして

ここ数日読んだ、何冊かの本の中に冷めたコーヒーを飲み干す描写があった。 依頼人と探偵の間…

ながめ
4年前
21

実家の匂い

風が吹いた。その風はどことなく懐かしい香りを孕んでいた。 私は今日久方ぶりに実家に帰って…

大蒜
4年前
5

洗い現れ

翻る。 風に乗る。 尾鰭がつく。 朝、目が覚めたら一番に白いシャツを干す。 翻る。 風が…

ながめ
4年前
8

迷子の迷子の大学生

ただ立ち尽くしている。ここは交差点の真ん中。前進すればいいのか後退すればいいのか、右折すればいいのか左折すればいいのかまったくわからない。どの道を選んでも合っている気もするし同時に全部の道が間違っているようにも思える。迷い続けて十余年。私はどこで道を間違えたのだろうか。今日も明日も明後日も、どこまで行っても正解がわからなくてなんとなく、なんとかなるかなといった具合で進路を決める。なんとかなると思って進んでいるのにどうしてだろう肩の荷がどんどん重くなっていく気がするのは。今日も

誘惑

沈む太陽よりも赤く、輝く月よりも白いその実は目の前にあった。 名を林檎という。 私がそれ…

ながめ
4年前
6

残された者へ

そのダイヤモンドは夜に光る。 星の光で燃え上がる。 電子レンジは軋み、唸り声を上げる。 …

ながめ
4年前
10

まつとしきかば

アップルパイの匂いがキッチンから漂ってくる。 白いレースのテーブルクロスの上にそれはある…

ながめ
4年前
5

鬼女伝説

こんな話を聞いたことがあるだろうか。平安時代、長野県にある戸隠山では紅葉の季節になると何…

大蒜
4年前
4

味覚

どうやら味覚も人に合わせて成長するようだ。 僕は苦いものが苦手で、ずっとビールもコーヒー…

大蒜
4年前
3

闇夜

黒目のそいつは嬉しそうだった。 もういい。 惧れることは何もない。 君がぼくを食べたいの…

ながめ
4年前
7

元カノ

別れてから全然会ってなかった高校生の時の元カノから急に連絡が来て家に泊めた。なにか精神的にきついことがあったみたいだけど何があったのかは話してもらえなかった。4年ぶりに抱いた彼女は付き合ってたときとは全然違くて、それはお互いそうなんだろうけどどこか虚しさを感じた。多分1番引きずってる人だからなんだろうな。 朝起きてどうしても気持ちが抑えきれなくて復縁を持ちかけてしまった。案の定断られた。「付き合うのは無理だし、そういうこと言ってると利用しちゃうよ。」彼女は言った。利用されて