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209:自民党本部に火炎瓶が投げ込まれた事件を取材した記者を取材した

・今日、10月19日(土)の早朝、少しだけびっくりする事件が起きた。

・今日は新聞記者をやっている高校時代からの腐れ縁な友人と遊ぶ約束をしていた。
・彼は休みのはずだったが、表題の事件が発生したためまだ草木も起き始めたくらいの頃から急遽出動し、この事件について取材していた。

・夕方ごろ、彼にようやく会えた。彼とはよく電話をし、近況などは知っていたが、新聞記者の生活についてその直後に間近で聞いたのは初めてだ。

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・名前を言えば誰もが知っている大手新聞社に在籍しており、今年の9月から本社の社会部へ栄転を果たした彼は、その忙しさに右往左往しながらもなんとか迫りくる日々をこなしていた。

・彼と落ち合ってからはドトールに行き、明日の朝刊に載るであろう記事の、もとになる取材のメモを見せてもらったり、その時の様子を聞かせてもらった。

・今日は千代田区まで行って事件現場を確認した後、そのまま埼玉の川口まで行っていたらしい。
・自分からするとそんな急遽な遠出などついていけないだろうなと思ったが、彼にしてみるとそんなことは日常茶飯事みたいで、そんな日常茶飯事であることも板についている喋り口調で今回の事件について語ってくれた。

・同じ片田舎の学び舎で一緒に馬鹿をやっていたのに、彼は大人になったものだ。すでに貫禄めいたものがある。
・だが、彼は別に見た目が違うだけで会社員をやっていれば同じようなストレスには誰しもが出くわすだろう、と言っていた。

・隣の家の芝生は腐って見えるのかもしれない。

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・川口に行ったのは、容疑者の自宅があったから。
・自宅を訪ね、周辺住民に突撃し、何人かには断られながらもどうにか応じてくれる人を見つけ、記者としての責務を果たしていた。
・記事を書き終えた後自分と約束していた場所である上野まで、そのままの恰好で来てくれた。

・落ち合う際、大通りの対岸でお互いを発見した時は笑顔で大きく手を振っていて、それまでの苦労などは微塵も感じなかった。
・「お前笑顔やなぁ!」と言われながら横断歩道で落ち合った。いや、お前の方が笑顔だっただろ、と思った。

・彼は「周辺住民からしたら嫌だろうな。怖い人が近くにいたことを急に知ったり、俺らみたいなマスコミにいろいろ聞かれたり。でもそれが俺らの仕事なんだよな。」と言っていた。
・「起きた事件を正しく世間に伝える」という大義名分を背負って彼は力戦奮闘しているが、別に強い使命感を持っているわけでもないらしい。
・「食っていくための生業として何が良いかを考えた時、記者だった」と昔からよく言っていて、その言い草は自分も好きだったし根幹の価値観は同じだなと思っている。

・新聞記者は突然の出動であったり、取材対象からの煙たがられる目、それを乗り越えた上で世間から「マスゴミ」と揶揄される風潮に耐えられず精神を病んでしまう人が多いらしい。
・強い使命感を持っている人の方が、そうなりやすいのだと。常々自分にも言い聞かせているが、アクセルを踏み抜くとすぐにパンクしてしまうので、ガソリンを節約しながらゆるゆると走らなければ、現代社会を生き抜くのは難しい。

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・マスコミにも生活がある、ということを理解している人は果たして世の中にどれだけいるのだろうか。
・別に彼らの全てが大義名分を背負わなければならないのではない。生きていくための職業選択として自由に選べるものであり、「日々の生計を立てるために働く」という点においては他の職種と変わらない。

・今日は彼と真面目な話を少しだけしたが、その後は上野恩賜公園の噴水の近くに座って互いの近況や思い出話に花を咲かせた。

・福岡県小郡市の、西鉄小郡駅を降りたすぐのところにある「のぼる亭」という居酒屋でまた地元のメンツと集まりたいな、という話をした。

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