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『麦わらの帽子の君』が『マリーゴールドに似てる』と感じるのは何人中何人か
あいみょんの話じゃなくて、ごめんなさい。
せっかく大学に行ったのに、全然それを活かして生きていない人間こと私だけど、「もう少し真面目に勉強しておけばよかったな」と思う科目がある。
それは『統計』だ。
確か1年の必修科目で、授業を受けている当時は「言葉が多くて違いがわからない」「こんなことを勉強して何の役に立つのか」と思って、単位を落とさない程度にしか勉強していなかった。
(もしかしたら追試にかかっていたかもしれないけど、とりあえず再履修は免れた)
最初に後悔したのは、それから2年後くらいのことだった。
学年が上がるにつれて薬の作用についての科目が増えていくのだけど、「それが効くって評価する」のに統計がめちゃくちゃ重要だった。
95%信頼区間とかのワードは普通に出てくるし、もちろん必修科目でやっているはずなのでいちいち説明してくれないし、当然のごとく一夜漬け的な知識しか入れていなかった私は、恥を忍んで賢い友人に教えてもらった。
(教科書読み返してもわからんかった)
うちの大学は学年最下位でも研究室に配属される鬼システムだったので、私も一応入れてもらった。
(下から4番だった)
実験して、評価して、発表して、の繰り返しなのだけど、また統計が大事だった。
どういう実験系を組むか、などは過去に発表された文献を元に考えていくのだけど、「これできたの偶然じゃね?」とか「因果関係があるというには無理がある」とかいうのも中には紛れている。
(論文が受理された時点では正しいという判断がされているものではあるけれど)
さらに、自分も何かしらの発表をするとなると、それが信頼しうるデータであると示すには同じ結果を何回示す必要があるか、という問題にぶつかる。
私はマウスの血と人間の血を使う実験をしていたが、サンプルを手にいれるためにはお金がかかるので、「じゃあとりあえず20人くらい」というわけにはいかなかった。
卒業して働くようになってからはさらに統計について考えるようになった。
私たちは「誰も『正しさ』を担保してくれない情報」に囲まれて生きているからだ。
健康食品やダイエット法に始まり、トンデモ医療や情報商材など、「すごい効果あるって宣伝してるけどそれ本当?」と思うようなものに溢れている。
有名人がやっていると言われると信頼できるような気がするし、医者の薦める方法だったらなおのことそうだと思う。
科学的根拠に乏しい方法でも、”誰かのお墨付き”をもらえたら信じてしまうのが人間だ。
そして、自分の信じたいものに有利な情報しか目につかないのも人間だ。
逆に、疑ってみているものには否定的な情報しか目につかないとも言える。
(売ってる側も、売るのに有利な情報しか取り上げないし、その自覚がない場合もある)
ただ一つ言えるのは、「客観的に信じるに足る根拠があるものならば、そのデータは積極的に示しているはず」だ。
ホームページなどで確認できるところもあるだろう。
でもまだ安心できない。
ダイエットやビジネス系の商品であれば、売る側も説得力が欲しいので数字を出している。
そのグラフの縦軸の取り方は大丈夫か?
(変化の大きい範囲だけ拡大してある)
計算方法に納得がいくか?
(消費税増税は8%から10%なので、本体価格に対して2%の増なのか、元の8%に対して25%増なのか)
対象としている母集団が適切に選択されているか?
(男女比に偏りがあるなど)
他に結果を左右するような要因はないか?
(併せて1日1時間の運動を義務付けたなど)
少なくともこれくらいは確認しておきたいところだ。
ここまで言っておいて、と思うが、何も私は「ファーストペンギンになるな」と言いたいわけではない。
知識があれば巻き込まれずにすむトラブルもあるということ。
そして、信頼できるデータを示すためには、統計の知識が必要だと思う。
(ごく稀に”因果関係がないのに統計上奇跡的に一致する”事象があるので、科学的根拠はもちろん大切だけども)
まあ私は何事も穿った見方をして、チャンスを逃す傾向にあるんだけどね。
リスクをとってチャレンジするのも一つのやり方だし、できるだけリスクを回避するのもまた一つのやり方だから、その人それぞれの考え方に沿ってやっていけばいいと思う。
余談だけど、以前製薬メーカーの説明会(今までにこの薬を出して、実際の患者さんでこれくらいの効果がありましたよ、だからこれからも積極的に使ってくださいねっていうもの)で、ちょっとデータ処理の方法で肚落ちしないなーとモヤモヤしていたのだけど、(私にはそれを説明できなかったんだけど)別の人が指摘してくれて、メーカーの人がめちゃくちゃ困っていた。
まあそのとき話してくれたメーカーの担当者がデータ処理をしたわけではないから、その人を責めても仕方ないのだけど、その人も自分で話しながら違和感なかったのかなーとは思った。
(「あのメーカーは自分の都合のいいデータしか集めないから、信用ならないね」と言っている人もいた)
結局何の話かって?
必修科目って意外と大事って話。
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