はじめに
近年AI技術の進化が注目されており、特にMidjourneyのようなツールは、デザイナーの仕事を大きく変えつつあります。では、AIはデザイナーの仕事をリプレイスしてしまうのでしょうか?今回は、Midjourneyを使って実例を試しながら、この疑問に迫ります。
AIツールの紹介
Midjourneyは、クリエイティブなビジュアルを生成するAIツールの一つです。最近はWebブラウザ版も登場しさらに使いやすくなっています。
個人的によく使う機能は、Style referenceとCharacter Referenceです。
--sref (Style Reference) は、特定のスタイルや雰囲気を持つ画像を参照し、それに基づいて新しい画像を生成する機能です。これにより、画像に特定のビジュアルテーマを持たせ、一貫性を保つことができます。
--cref (Character Reference)は、特定のキャラクターや人物像を参照し、一貫したキャラクターの画像を生成する機能です。
実例1: 同じ人物でのストーリーボードの作成
ストーリーボードは、ユーザー中心設計のアプローチや、映像制作などに欠かせない表現です。Midjourneyの機能を上手くを使うことで作成できそうなので試してみたいと思います。
Step 1
まずは「スタイル」と「キャラクター」の画像をジェネレート
Style Refの画像を準備
Character Refの画像を準備
Step 2
シーンの生成
この二つの画像を元に、ストーリーボードなどで必要になる、様々なシーンを同じ人物とテイストで生成してみました
出勤シーン
オフィスシーン
ランチシーン
キックボクシングシーン
1日の終わりシーン
--sw(Style Weight)でスタイルの参照度合いの調整したり、--cw(Character Weight)のパラメーターで、人物の顔は固定し、服装のみを適切に変える(--cw 0)服装も含め全体を参照する(--cw100)などといった調整ができます。
実例2: リアルなファッションフォトの生成
次に、この同じ人物を使って、リアルなファッションフォトを生成してみましょう。AIを使うことで、モデルや撮影環境の手配をせずに、リアルなファッションフォトを生成できます。以下は実際に生成したファッションフォトの例です。
アジアンテイスト
エレガントテイスト
スポーティーテイスト
結論
AI技術の進化により、デザイナーのアウトプット領域が格段に広がりました。きちんと使いこなせば、デザイナーの仕事も増やせる気がします。ただ、現状だと効率的なのかどうかは難しく、実際この実例を作るのにも細かな調整に結構時間がかかりました。特にストーリーボードにおいては、設定やシーンによっては難易度が上がり、AIでは難しい表現などにぶつかると、効率的ではないかもしれません。現状はうまく特性を掴んで取り入れる必要があるように思います。
しかし、これらの過程には多くの学びがありました。それはイメージしている画像を詳細に言語化してAIに伝える必要があり、これはまさにアートディレクションそのもので、ディレクションの解像度を上げる練習や研究になると思います。
つまり、「理想をイメージしてより詳細に言語化できるかどうか」
が重要になっていくのかなと。
AIツールの未来としては今後もっともっと、イメージ通りにコントロールしやすい機能が搭載されていって効率的なツールになっていくと思います。これからも、AIを積極的に活用しながら、クリエイティブな仕事に挑戦していきたいと思います。