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【感動動画】東京オリンピックがあるはずだった日に、アスリートがオリンピックにたどり着くまでの物語を伝えたい

実話をもとにしたキャンペーン動画

 私の趣味(と言えるほどのものじゃないけど)の一つが、YouTubeで感動的な動画を漁ることです。

「タイのCM」とか「東山堂のピアノ教室のCM」とかは見すぎて、セリフやカット割りまで覚えてしまいました。

 今日はP&G社の「サンキュー、マム(ありがとう、お母さん)」キャンペーンで作成された動画を紹介したいと思います。けっこう有名な動画なので、見たことがある人もいるかもしれません。

 記事のいちばん下にリンクを張ってあるので、おまえの解説はいいから、さっさと動画を見せろ、という方は、先に動画をご覧ください。

 ただ、動画を見る前に、私が解説した文章を読めば、見たときの感動が10倍、いや100倍になることを保証します。

 では、説明に入ります。

 P&Gは、いうまでもなく世界最大のアメリカの総合家庭用品メーカーです。

 CMを撮影したのは、メキシコ人のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ。舌がかみそうなお名前ですけど、2006年に『バベル』で、カンヌ国際映画祭の監督賞、ゴールデングローブ賞の作品賞をとったすごい監督です。

 ちなみに『バベル』には、日本の女優の菊地凛子さんも出演していましたね。

 撮影は、ロンドン、リオデジャネイロ、ロサンゼルス、北京……四つの大陸で行われ、地元の俳優さんや現役アスリートが出演しています。

 動画を見る前に、みなさんにぜひ知っておいてほしい重要なポイントがあります。

 それは、この映像で描かれたエピソードは、アスリートたちが実際に経験した話を元に作られているということです。

 P&Gという大企業が作ったキャンペーン動画で、CMといえばCMだし、演じているのは役者さんではあるけれど、描かれたエピソードは、どれも本当にあった話なんです。

 ここで、全員ではありませんが、エピソードを提供したアスリートの名前をご紹介します。

 ミシェル・クワン
 アメリカのフィギュアスケート選手。長野オリンピック女子シングル銀メダリスト。ソルトレークシティオリンピック、女子シングル銅メダリスト。五度の世界フィギュアスケート選手権で優勝、九度の全米フィギュアスケート選手権優勝。
 ザーラ・ラリ
 11歳のときに観た映画『アイス・プリンセス』に憧れ、12歳でスケートを始める。2014年、アラブ首長国連邦の選手として初めて、イスラム圏の女性が着用するヒジャブを着用して競技会に出場。2015年、国際大会で初優勝。
 マチルデ=アミヴィ・プティジャン
 トーゴの選手で、西アフリカで最初のオリンピック・クロスカントリースキーヤー。
 カリーナ・フォークト
 ドイツのスキー選手。2014年ソチオリンピックで優勝し、オリンピック女子ジャンプ競技の初代金メダリスト。

母親は子供の最大の擁護者

 中には非常に貧しい環境――スラム街のような場所で育ちながら、世界的な選手にまでのぼりつめたアスリートもいます。

 彼ら、彼女たちが頂点にたどり着くまで、母親がどういう役割を果たしたのか、この映像は教えてくれます。

 ちなみに、ミシェル・クワンはキャンペーン動画を撮影するにあたり、こう語っています。

「この映像は、母と私がたどってきた、オリンピックに至るまでの長い道のりを思い出させてくれました。

 母の無条件の愛とサポートは、他のどんな助言よりも私にとって重要でした。

 私は、他の競技者が持っているような恵まれた環境にはありませんでしたが、私たち家族は、与えられたチャンスを最大限に活かし、貧しい境遇を乗り越えてきました。

 母の無条件のサポートなしでは、今日の私はここにいられないことを知っています。このキャンペーンに参加できたことを誇りに思います。ありがとう、ママ!」

 なおP&Gは、この動画を作成した意図をこう語っています。

「この映像は、実際のアスリートたちが遭遇した偏見との闘いを描いています。
 母親は、他の人がどのように見ているかに関係なく、子供の可能性だけを見ています。
 母親は、子供にとって最初で最大の擁護者なのです

 動画の中に、私にとって印象的なシーンが一つあります。

 スラム街でギャングのような男たちが少女を仲間に引き入れようとするのですが、それを母親が血相を変えて追い払います。「私の娘に手を出したら承知しないわよ!」と。

 最近は「毒親」などと言って、子供に悪影響を与える親の存在が語られていますよね。

 ですが、この動画に出てくるアスリートたちの母親は、周りがなんというと、我が子の可能性を信じているんです。

 誘惑、ケガ、自信の喪失……アスリートたちが頂点にのぼりつめようとするとき、多くの障壁が立ちふさがります。それは決して一人では乗り越えられません。

 もし今、自信を失い、進むべき道を見失っている人がいれば、この動画を見て思い出してほしい。

 子供の頃、あなたの可能性を信じてくれた人がいたことを。それはあなたが、これからの人生を生きる上での強い力になると、私は信じています。

 そしてもし、あなたが孤独にも強く、苦難をもろともしない強い人間であるならば、それはあなたが子供の頃、両親や周りの大人たちから無条件の愛を与えられたからです。

 今回、この動画を見て、何か感じたものがあったとすれば、ぜひ両親に「私を育ててくれてありがとう。見守ってくれてありがとう」と感謝の気持ちを伝えてほしいです。

 そしていつか、あなた自身が親になったとき、あなたも子供の可能性を信じ、無条件の愛で成長を見守ってほしいです。

オリンピックは私たちの物語

 そしてもう一つ、今回これらの動画を紹介したのは、コロナ禍で延期になった東京オリンピックも関係しています。

 オリンピックにかけるお金があるなら、コロナで困窮している人に回せとか、さっさと中止にしろとか、いろんな意見があるのはわかりますが、私は東京でオリンピックを見たい。

 一人のアスリートが頂点にのぼりつめるまでには、周りの大勢の人がかかわっているんです。もしかすると、あなた自身も気づかないうちに、そのサポートをしたかもしれませんよ?

 だとすれば、あなただってオリンピックの参加者の一人、オリンピックという物語の一部です。

 長々と申し訳ありません。私からは以上です。下記にリンクを張ってあるので動画をご覧ください。

P&G 'Thank You, Mom' Campaign Ad: "Strong" (Rio 2016 Olympics)

Thank You Mom - P&G Commercial (Sochi 2014 Olympic Winter Games)

P&G 'Thank You Mom' Campaign Ad: "Best Job" (London 2012 Olympic Games)

Ellen Premieres P&G's 'Thank You, Mom' Olympics Video(冒頭の20秒ほどは飛ばしてください)

※リンク切れの場合、お知らせください。

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