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強盗に遭遇した夜の話

15年前くらいの話

家から自転車で10分くらいのところにある、夜11時まで営業しているスーパーでバイトしてた。よくある2階建ての構造で、1階は食品、2階は日用品を扱っていたんだよ。で、夜は2階が21時に閉まって、1階だけが23時まで営業。閉店前はレジが2台で回ってるんだけど、21時45分を過ぎるとレジが1台になって、あとは品出しのバイトと社員1~2人で運営してた。

バイトが終わると、よく先輩たちと駐車場で集まって「どこ行く?」ってなって、ドライブやボウリング、カラオケ、たまには心霊スポットに行ったりしてた。目的なんて特にないけど、みんなで集まるのが楽しかったんだよね。今考えると、集まる口実が欲しかっただけだったのかも。


寒い夜の出来事

その日は12月の終わりくらいで、夜はものすごく寒かった。
いつも通り、閉店作業をしていた。俺、小池くん(仮名。小池徹平に似てる陽気な先輩)、店長(クッキングパパみたいな顔の頼れる人)、それと新人の溝端くん(仮名。顔だけ溝端淳平に似たイケメン)がいた。4人で閉店作業をして、俺はレジの締め作業をしていた。

23時になり、みんなで「お疲れー」と言いながら帰る準備をしていたんだ。俺は「ちょっと一服してから行くわ」と言って、搬入口の扉から外に出た。すると、なんかフードをかぶった男が立っていて…。

最初は「あ、黒田先輩(仮名)かな?」って思ったんだよね。黒田先輩はコブクロの黒田に似ていて、よくふざけて俺たちを驚かすようなやつだから、「また変なことしてるのか」って軽く思ってた。でも、ふと気づくと、その男が腰に光るものを持っていて、「あれ?刃物…?」と思った瞬間、俺は心臓が止まりそうになった。

その時、男が
「金を出せ!刺すぞ!!」って言った。

心臓がドクンって止まった感じがしたけど、その時はなんか冷静だった。

頭の中で「やばい!死ぬ!」って思って、でもどうしていいか分からなくて、必死で相手の背後に回って羽交い締めにした。筋力なんてなかったけど、必死で動けなかった。ちょうどその時、小池くんが俺の声を聞いて駆けつけてくれた。

「小池くん!助けて!強盗だよ!!」

小池くんは状況をすぐに把握して、周りを見渡して、何を思ったのか、ポスターが入った大きな筒を持ってきて強盗に向かって振り下ろした。でも、何度も叩いてみても、ポンポンって軽い音が響くばかりで、強盗には全然効かない。

「だめだこりゃ」って言いながら、小池くんは店長を呼びに行った。

必死すぎて、何が起こってるのか正直よく分からなかったけど、無事に店長が駆けつけてくれた。店長は高身長でスタイルも良く、顔はちょっとクッキングパパっぽいけど、動きはプロそのものだった。

俺が羽交い締めにしていた男のナイフを抑えてくれて、店長もすぐに状況を理解してくれた。

その後、俺たち3人が力を合わせて強盗を抑え込んだ。
強盗は必死で「刺すぞ!」って叫んでたけど、俺たちは力を合わせてナイフを奪おうとした。

結局、何とかナイフを取り上げて、強盗をその場で抑え込むことができたんだけど、その瞬間、安堵して力が抜けてしまった。俺はもう、ほとんど力が残ってなかった。でも、3人で必死にやってるうちに、強盗はもうどうしようもなくなっていたんだ。

で、その時、溝端くん(帰国子女でイケメン)のことなんだけど、彼は後から来て何もしてなかったんだよね。店長が指示して通報してたけど、全然伝わってなかった 笑

そしてその後

警察が来て、強盗は無事に逮捕された。その夜の出来事は「紙筒ポンポン事件」として小池君と会うたびに話す。

ちなみに、あの緊迫した羽交い締めの最中、なぜか当時の彼女のことを思い出していた。

「もし刺されて死んだら、彼女にどう思われるだろう」って。

あんな状況でそんなこと考えてた自分にも驚いたな。

今でもあの夜の冷たい空気とか、ナイフの光は忘れられない。でも振り返ると、鈍いポーンポーンポーン音が一番鮮明に思い出されて、つい笑ってしまう。


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