龍(ナーガ)の覚醒
去る2023年7月1日、東京四ツ谷の真成院様にて、日本国内唯一の佐々井秀嶺上人公認支援団体 南天会 主催による『龍族会議』が開かれました。
この集いは、インドから四年ぶりに来日された佐々井師を中心に、上人より「龍」の法名を授かった善男善女、また上人を心の師と仰ぐ人々が一同に会し、佐々井師が歩んだ菩薩道を未来に繋いで行こう、という法座です。
当日の詳細については、いずれ主催者側から何らかの発表があるものと思いますので、ここでは、開会に臨んで司会進行を担当した私の前説を増補加筆して、紹介させていただきます。
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龍(ナーガ)。一説に、古代インドでアーリア人に侵略された先住民族ドラヴィダ人を神話化したものとされます。また、大地に生きる人々の総称ともいわれます。
日本でもお馴染みの『妙法蓮華経』には提婆達多品があり、釈迦牟尼を殺そうとした悪逆の提婆もいずれは如来となる、と説かれています。その同じ章で、竜女成仏、すなわち大地の民ナーガ族の少女がインド社会の男尊女卑を跳ね返して仏に成る、とも説かれているのです。
さて、私たち龍族は、サンガです。このサンスクリット語︰サンガは、民主的な共同体を意味します。仏教史に於いて、ゴータマ・ブッダの氏族︰シャーキャ(釈迦)族は、物事を決める時、誰かの独善・独断にならぬよう会議を開いていた、と伝えられます。これに基づいて、ブッダは弟子たちの集団を、サンガと呼ばれたようです。
ご承知の通り『三帰依文』は、帰依仏・帰依法・帰依僧。ブッダに帰依するダンマに帰依する、それと全くの同格、全くの同価値として、サンガの一員になります、独善・独断を捨てます、と〝誓う〟わけですね。
ところが、時々いらっしゃいますよね?「自分は◯◯仏を信じている」「◯◯経だけが真実だ」、あるいは「ゲンシブッキョーこそ正しい」などとおっしゃる御方。
まぁ、おのおの好きになされば宜しいが、結局は〝帰依仏のつもり〟になっているだけじゃないですか?せいぜい、帰依法のつもり〝にも〟なっているぐらいでしょう。肝心な三番目のポイント、正三角形を生み出す重要不可欠な一角「帰依サンガ」が、うすぼんやりしている、もしくは、無い。つまるところ、公共性に欠けている。あえて今日的に表現するなら、人間同士のリスペクトを忘れている、ということになるでしょうか。
社会は、一部のインテリやお金持ちではない、ごく普通の人々が支えています。それが、龍族だと私は思います。
では佐々井秀嶺上人に御登壇頂きましょう。───