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「100年残すつもりで作ってる」はなし

先日のツイートで作品の強度について、こう記しました

「100年残すつもりで作ってる」

私は人の作品の強度、劣化率まで気になっちゃうくらい、長い時間を経ても変化が起きない絵画の作り方を心がけています。それは油絵が持つ歴史が影響しているのは明らかで、ご存知の通り油絵はフレスコの進化版であり元々の起源は壁画から始まります。油膜を重ねて制作する油絵は強固な画面が特徴で100年先も劣化せず残すことができます。もちろん劣悪な環境ではその通りではありませんが、インクや染料などと違い、顔料とメディウムが練られた絵の具はそう簡単には褪色しません。きちんと手順を踏まないと支持体に固着せず剥がれることもありますが、そういった材料学の基礎は大学でしっかり学んだ自負があります。


販売するということ

展示会場では作品を販売をしています。販売するということはお客様の手元で飾られるということです。私の場合は特に「絵を初めて買いました」というお客様も多く、絵の取扱いにおいて慣れていない方の手元にお渡しすることを前提に作品作りをしています。

例えば、「不快な匂いがしない」「触ってすぐ壊れない」などご自宅等で飾る際に扱い難い作品ではないことと並んで、「経年劣化が起きにくい」ことも重視しています。


お客様からのSOS

10年くらい前にご購入いただいたお客様から「シミが出てきた」とご連絡をいただいたことがあります。修復ができるものならしたいと思い、すぐに作品を送っていただきました。そこで驚いたんです。むしろ、全く変化していなかったからです。

結論として、お客様が飾る場所を変えて、「光源が変わったために見え方が変わった」ことが「シミが出てきた」と勘違いされた原因でした。油絵は表面の色が見えているわけではなく、油膜を通して色が見えているので光の量によって見えてくる色の量も変わるのです。お客様には当時の制作時の写真などもご覧いただき丁寧にご説明をして、ご理解をしていただきました。


販売ではなくイラストレーション用の場合

今までの販売することを前提に考えてのはなしでしたが、今度はイラストレーションとして写真データを納品する場合の話です。

現物の譲渡がない場合は、「強固さ」よりは納品までの「スピード」が大事になってくる場合がほとんどだと思います。そういった場合は低粘着の接着剤(コクヨのひっつき虫を愛用しています)で仮止めをするなど修正対応もできる形で作品制作を行います。どちらにしても適切な処理を行うことは大切にしている制作に対する姿勢の一つです。


↓その時のツイートはこちら↓

https://twitter.com/nagaaatayumi/status/1638512589662736390?s=61&t=0Srw067u3MTtXP0fGT83aA

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