ずっと間違えている人
昨日、テレビですごく厨房が狭い食べ物屋さんのことをやっていて、それを観ながら、わたしも昔すごく厨房が狭いお店で働いていたことを思い出した。
そこはパン屋さんだったんだけど、カレーパンに入れるカレーとか、サンドイッチに挟む具とかを、全部手作りしていたから、厨房にはコンロもフライヤーもあって、他にパン窯とかミキサーもあって、狭い厨房に常に10人ぐらいが忙しく働いていた。
ある日、わたしは、大きな鍋の横でしゃがんで作業をしていて、その鍋は火は切ってあるけど今しがたまでぐつぐつ煮えていたから熱かった。
狭い厨房だったので、どうしても、熱い鍋の隣にしゃがんで作業をしなくてはいけなくて、そうしたら、ふとしたタイミングで、わたしは目尻を鍋の縁にぶつけてしまい、火傷をしてしまった。
左目の目尻に、赤いアイラインを間違って長く引いてしまったみたいに火傷になって、それはだんだん茶色くなって、本物のアイラインみたいな色になり、わたしは、本格的にアイラインを間違って長く引いてしまったようになり、しかもそれに気づかずにいる人、として歩いていなければならなかった。
このまま火傷のあとが残り、一生アイラインを間違って長く引いてしまった人として生きていかないといけないのか、と心配していたけれど、消えたので良かった。