歌うお相撲さん

　子どもの頃、野球のルールはわからないし野球が特に好きなわけではないのに、プロ野球珍プレー好プレーを観るのが好きだった。
　みのもんたのナレーション、フライを取り損ねる外野手、カラフルなアフロのカツラを被っている選手、ヒーローインタビューでふざける選手、ベンチでふざける選手、お笑い芸人のギャグを真似する選手。
　普段真面目な人ほど、ふざけたり間違えたりすると面白く感じる。野球はルールに従ってやるし、一生懸命走るし、勝つためにみんな頑張っているので、そういう人たちがふざけているのを見ると、とても楽しい気持ちになった。
　同じ理由で、お相撲さんがふざけているのを見るのも好きだった。昔は、お相撲さんが、部屋対抗で歌合戦をやる番組があった気がする。今もあるのだろうか。貴乃花がまだ貴花田だった頃にカラオケを歌っていた、浴衣で、緊張した面持ちだった。
　前に、ホークス戦で実況の人が興奮して、解説の坊西さんを「坊西ぃ！」と呼び捨てにしていて、それにすごく笑ってしまった。真面目な人が真面目に一生懸命にやるからこその間違いなので、あまり笑っては失礼かもしれないけど、我慢しようとするとよけいに笑ってしまう。