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どうしても梅に触りたい

 英一蝶(はなぶさいっちょう)のことが日曜美術館でやっていて、いろいろな絵を紹介している中で、わたしがいいなと思ったのは、着物の女の人が2人いて、その人たちは炭みたいな木の束を売る途中で、1人のひとは木の束を頭に乗せている、そうやって運んで売っていたんだそうだ、それで、もう1人の女の人は、梅の木に咲く花に手を伸ばしているんだけど、届かなかったようで、売り物の木の束を踏み台にしている。それを、先に進んでいた女の人が振り返り、あらあら、みたいな顔で、笑っている。
 女の人2人の関係はわからないけど、同じ品物を売り歩いているのだから、同僚、先輩か後輩だと思われ、恐らく、梅の花に手を伸ばすのが後輩、振り返り笑っているのが先輩、という感じがする。
 売り物を踏み台にするほど、どうしても梅の花に触りたかった後輩がかわいいし、それを怒らないで笑っている先輩もいいし、その瞬間を捉え、絵にした英一蝶もいい。
 英一蝶は流刑になってしまい、原因は諸説あるようだけど、吉原で元気に遊び過ぎたようだ。
 きっと、とても楽しい人だったのではないかなー、と思う。

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