景色は光る
YouTubeで、病気で死にかけた人が話していた。
その人は、肺に水が溜まって、息が苦しくてもう本当に死にそうだった。
病室にいて、それで、そこで悟ったのだと言って、
悟るとどうなるかわかる?
と、聞き手の人に尋ねる。
わからない、と聞き手は答え、わたしも、わからない、と思う。
死にかけてわかってんけど、欲がなくなってくねん。
食欲がなくなる、YouTube10万人いくとかどうでもよくなくなる、性欲もなくなる、で、どうなるか、わかる?
わからん。(わからない、わたしも。)
景色がきれく見えんねん。
病室の、窓から見える景色が、とにかく綺麗で、人は自分が死ぬと悟ると、そうやって、いつもの景色が光って見えるのだというのは、他の死にかけた人も話していたような気がする。
聞き手の人も実は死にかけたことがあって、その人は、病院で病名を聞いた帰り道、電柱とか、壁とか、地面とか、あらゆる道にあるものに、なぜか触りたくなって、実際にいちいち触りながら歩いたのだと言う。
と、いう話を、YouTubeの動画で話している今のふたりは、元気そうで、よかった。