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いいなあ、と思った

 群像新人文学賞、最終候補に残っていたのですが、落選しました。
 読んでくださった、すべての方に感謝しています。
 いつも、このnoteを読んでくださる皆様にも、感謝しています。

 最近は、曇りか雨が多い気がする。
 曇りで、晴れ間がぜんぜん無くて、薄い黄土色と薄い灰色が混ざったような空がぎっしりしている。
 雲が覆っているのだなあ、ということは、空を見上げているときには思わない。見上げて、すぐに思うのは、空の色がこういう色だ、ということで、雲が覆っている、と思うのはそのあと思考が、空がいつもの青色ではないのは、雲が覆っているからだ、と判断している。
 地球が丸いとか、太陽の周りを回っているとか、そういうことを知らないで見る自然を見ることはできない。

 カピバラがお風呂に入っている姿。
 猫が暖かい場所に体を丸めて寝ている。
 温泉に体をゆっくり沈めながら、ああ、と思わず声が出ている人。
 エサをふがふがいいながら食べている犬。
 暖かくなったと思ったら順次開いていく庭の花。
 観葉植物に生えてきた小さな葉。
 土下座みたいな恰好で床をこぶしで叩きながら笑っている娘。
 大きなカビゴンのぬいぐるみを抱いて眠る息子。
 いいなあ、と思った。

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