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消防士がウインクをする


 少年は、両親とうまくいっていない。
 ある日の夜。少年の部屋のクローゼットから、馬に乗った騎士が飛び出してくる。続いて、小さなおじさんが、7人ぐらいだったと思うんだけど、出てきて、自分たちは追われている、と言って、巨大な悪魔の顔面だけのやつが追いかけてくる。少年とおじさんたちは、クローゼットに逃げ込む。
 クローゼットの中はタイムマシンみたいになっていて、少年とおじさんたちの冒険が始まる。
 子どもの頃観た映画だ、1980年代。
 調べたら、バンデットQという映画だった。
 少年と両親の関係が不思議で、すごく悪いわけではなく、映画の説明だと「冷たい両親」みたいになっていたんだけど、その辺の描き方が、子どもながらになんか変というか、違和感が面白かった。
 冒険から帰ってきたら、少年の家は燃えている。
 部屋に残っていた少年を助けようともせず、両親は外で、おまえのせいで家が燃えた、と罵り合っている。消防士に助けられ、少年は外に出る。
 焼け焦げたオーブントースターの中に、悪魔のかけらがある。
 両親が悪魔のかけらに触れると、ふたりは爆発し粉々に消えてしまう。
 呆然とする少年に、消防士がウィンクをする。

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