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つるつる筆触

 日曜美術館で観たベラスケスの絵が、最初に番組で登場した絵から200年後に描かれた絵画で、どこが進化しているかというと、ひとつは空間の描き方。
 最初の絵と同じく鏡があるのだけど、ベラスケスの方は、鏡の隣に扉が開かれていて、奥行きをさらに深く作っている。
「ファンエイクは」とナレーションがあったことで、わたしはここで最初の絵はヤン・ファン・エイクによる『アルノルフィーニ夫妻の肖像』(1434年)だと知ることができた。
 ヤン・ファン・エイクの方は、自分の鏡に映る肖像をとても小さく描いていて、あとはサインを入れているんだけど、ベラスケスの絵になると画家の肖像は「こちらを見つめる堂々とした姿で描いている」。
 15世紀には写実的な絵画が必要だった。カメラが発明され、普及していくと、絵画は必ずしも写実的でなくてもよくなったってことで、ヤン・ファン・エイクの絵は筆触を残さずつるつるなんだけど、ベラスケスの絵はわざと筆触を残してある。
「職人というのは、言われたことを言われたとおり、パン屋さんはパンを作り、靴屋さんは靴を作る、というだけですけども、芸術家は自分で、いろんなもの新しいものを作っていく」
 200年で存在感が大きくなっていったのは、画家が職人から芸術家になったから。

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