幸せなコラボ 4
昔々、あるところに4人の天使がいた。
ヨロコビ、カナシミ、ヨクボウ、アイの4人の天使は、魔王と戦うユウシャにくっついていた。
ユウシャは、魔王との戦いが忙しすぎて、お付き合いしている姫との時間がなかなかとれなかった。
姫は怒った。
「魔王との戦いが忙しいのはわかるけど、どうして、ゲームばかりしてるの! わたしは毎日、さみしい思いをしてるのよ」
ユウシャは大のゲーム好きだった。
つい姫との時間より優先してしまう。
「ごめん、ごめん」
ユウシャは謝るのだが、また、新作のRPGにはまってしまった。
無言になる姫。
ユウシャは、お城の料理長に教えてもらって、姫のためにケーキを作ることにした。
料理が下手なユウシャ。
何度も作ったが、ボロボロのケーキしかできない。
落ち込むユウシャ。
こりずに、何度もケーキを作る。
料理長はユウシャに言った。
「ユウシャ様、失礼ですが、料理はあまりお得意ではおられないようですね。姫様のためなら、他の方法が良いのでは?」
ユウシャは笑った。
「得意なことをやったら、ズルいだろう? 苦手なことを克服するから、姫へ想いが伝わるんだ」
ユウシャはケーキ作りをして夜が更けてゆく。
不器用な自分に泣けてくるユウシャ。
その時、カナシミがユウシャをドンヨリさせた。
ユウシャは、過去の数々の失敗を思い出した。
さらに落ち込むユウシャ。
ヨクボウがユウシャの姫にすがる気持ちを増大させた。
姫を失いたくないと必死になるユウシャ。
アイがユウシャのゲームへの愛を増大させた。
また、ゲームしたくなるユウシャ。
その時、エイチが加勢した。
……ひらめき、きらめき、ピカピカビー厶✨
ユウシャは目覚めた。
……そうか、失敗から学べばいいんだ。
ユウシャは、ケーキ作りを失敗するたびに、やったことの記録をノートに書いた。
その履歴を見ると、その一連のつながりがルートを描き、ユウシャの中で地図ができた。
……そうか、わかったぞ。
カナシミが反省アップデートを開始させた。
ヨクボウが限りなく上質の味を求める気持ちを湧き上がらせた。
アイがケーキに姫への想いを込めさせた。
ヨロコビが言った。
……よーし、キラキラビーム🌟
夜が明けてきた。
ユウシャが作ったケーキは、過去最高の味に仕上がった。
……よし、できたぞ。
姫にケーキを食べてもらう。
「料理の下手なあなたのケーキだから、期待しないでおくわ」
姫はケーキを一口、食べる。
「まあ、こんなものね。頑張ったほうかしら?」
ガッカリするユウシャ。
姫のために全力を尽くしたから、後悔はないと思った。
そのとき、ユウシャの後ろから、姫が抱きしめた。
「な〜んて、ウソ。とっても、美味しかった。ありがと」
姫は嬉し泣きしていた。
笑顔になるユウシャ。
ヨロコビ、カナシミ、ヨクボウ、アイ、エイチの5人の天使は喜んだ。
これは、幸せなコラボ。
5人の天使は、ユウシャの中でペンタゴンを描いた。
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