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【俳句誌『聲』創刊号】耳をそばだてて
俳句誌『聲』は、2024年7月に創刊・発行。
所属作家は遠藤由樹子さん・容代さん。
母娘による十七音の美しい聲のハーモニーが各頁に響いている一冊。
◇感銘句
【春より】
あたたかや馬小屋にある掛時計 容代
ゐることを伝へむと鳴く仔猫かな
沈丁花旧字の戀の匂ひなり 由樹子
孕猫潮騒に目を細めたり
【夏より】
開くとき翼の音のする日傘 容代
夕立や悲しいときの字の丸く
木漏れ日をそれと気づかぬ素足かな 由樹子
遠き草近くの草に蛍浮く
* * *
どの句も自然で、でも慎重に選ばれた言葉たちによって描かれた一瞬は新鮮な煌きを放っている。
さながら上質な掌編小説のような趣き。
お二人のエッセイも素敵。
美しい日本語が紡ぎ出すそれぞれの情景は、声高ではない分じわじわと読む者の心に優しく沁み込んでくる。
声ではなく「聲」。
字の中に耳があるとおり、耳をそばだてて初めて聴こえてくる世界なのかもしれない。
創刊おめでとうございます。
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「私もこんなふうに詠みたいなあ」と寝しなに何度も読み直した。大切にします。
※句集や俳句雑誌を色々お送り頂いているのに、全然触れることができないまま時間が経ってしまいました^_^; 申し訳ありません。
ようやく諸々が少し落ち着いてきたので、今更ですがnoteで少しずつ感想を書かせていただければと思います。よろしくお願いいたします。