服の原点を辿っていく
いま自分が着ている服が、どんな素材で出来ていて、誰がつくっていて、どこでつくられているのか、以前までは考えたこともなかった。
そもそも工業製品として生産されている服は、「素材」と「生産国(=縫製された国)」の表示義務はあるが、素材が生まれた場所などはわからないようになっている。
ラオスでは、服が生まれていく過程が身近にある。
ひとつずつその過程を知っては、もっとその前に遡りたいという好奇心が湧く。そしてそのひとつひとつで「誰が」「どんな場所で」おこなっているのかがわかるから、親近感や愛着が何倍にも膨らむ。
気づいたら服の原料である「綿」や「蚕(かいこ)」まで行き着いた。
自分が生まれてから身に着けていた当たり前の存在である「服」なのに、何も知らなかったのだと、そこに広がる世界を知ることに喜びを感じた。
同時に、これは知らなくてはいけないのではないかと感じた。
食品と同じように、自分が生きるために必要なものがどう生み出されていくのか、それを知らないから大量生産・大量消費され、生産する人に対する搾取なども生まれていくような気がした。
今日の記事では、ラオスで手仕事で服が生まれていく過程を、写真で紹介したいと思います。
縫製・仕立て
どこの街にも仕立て屋さんがあり、ぴったりの寸法で縫ってくれます。オーダーメイドが当たり前の世界、いいですよね…。
織る(糸から布へ)
手織りで1枚ずつ、織られていきます。綜絖(そうこう)という織り機の箇所を、どの経糸を上げ下げするかを一列ずつ模様に合わせてセットし、そこに手で糸を縫い取るように緯糸を入れていく織り方がラオスを代表する技術です。
染める
ラオスの伝統は草木染め。村にある植物を煮出して染めます。写真はヘムの木という、木の皮で染めています。あざやかな黄色に染まります。
糸を紡ぐ
コットンボールを、手で撚りながら糸にしていきます。手紡ぎならではの、均一すぎない柔らかい質感が特徴的。初心者がやると途中で切れてしまうのでとても難しい工程です。
原料を育てる
ラオスは主に、短繊維のアジア綿。白っぽい生成り色と、やわらかなベージュ色の茶綿があります。
これはラオスの例ですが、日本で一般的に販売されている服であっても、機械で行われているだけで工程は同じ。
身近なものの工程を遡っていくことで、目の前にある1着への関心が深まっていってもらえたらいいなと思う。
消費するファッションではなく、その服とともに人生を過ごす、そんな価値観が広まったら嬉しいなと思います。
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