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アイスランド一人旅

私がアイスランドへ一人旅しようと思ったのは、音楽漬けの日々に疑問を感じたからです。DJや音楽イベントの企画・フェスに関するライター活動を目まぐるしく続ける日々…。誰かの為に役立つ情報やカッコいい音楽を広めたいと思ってやっていたことなのですが、自分のことに構う時間が少ないのではないか?と疑問に感じるようになったのがきっかけです。

今回の旅は、初めての海外旅行になりました。それまでは、国内の音楽フェスティバルを取材したり、遊びに行ったり。その中でもフジロックフェスティバルは、私にとって唯一の海外を感じる場所でした。海外のビッグアーティストは勿論、サーカスや異国の料理なんかも味わえて、それだけで私の人生は充実していたのです。1年に1回の非日常な体験ができるフジロックが、人生の糧のようなものになっていました。なので海外に行きたいなーと思ってもなかなか行動できなかったのです。また、海外旅行に行きたいと思っても行けなかった理由の一つに、高所恐怖症と閉所恐怖症があります。皮肉なことに、初めてパニックになったのは、フジロックのドラゴンドラです。それでも今回は勇気を振り絞って飛行機に乗りました。飛行機に乗るのは15年振りでしたが…全然平気でした。それは1人旅を考えている時間が、フジロック前のソワソワする気持ちに似ていたからかも知れません。

アイスランドでは、現地ツアーを日本から申し込んで行きました。音楽とは関係の無い絶景を堪能しようと、オーロラ・氷河・氷の洞窟・壮大な滝を見て、氷が軋む音に滝の轟音に心から感動し涙がでました。アイスランド語訛りの英語にもすぐ慣れ、現地ツアーで出会った人と交流したりして2週間を過ごしました。日本人にも出会ったりしましたが、それでは自分の為にならないなーと変にストイックになり、避けていたりしました。

アイスランドの絶景は日本では体験出来ない美しさでした。冬に行ったので日照時間が短く天候も変わりやすかったので、稀に現れる見事な夕焼けが今でも忘れられません。いつも晴れていたら、この夕陽の素晴らしさは分からなかったかもしれませんね。

自分の為に旅を計画して、誰かの為じゃない景色を1人で見たとき、私は旅人になったと実感し達成感を感じていました。しかし、SNSに旅の記録やアイスランドの絶景写真を投稿した時、これは自己満足の為なのだと気付きました。この感動を誰かに伝えたい!そんな風に自分の欲求を認めたときに、無理矢理封印してた、音楽の欲求がムクムクと湧いてきました。それを満たす為に、有名なレコード屋さんに足を運び、バーで行われているインディーバンドを見たり、パンクミュージアムにも行きました。更には、シガーロスのヨンシーとそのパートナーと姉妹と共同経営してるお店に行ったりと、どっぷりとアイスランドの音楽を堪能してきました。音楽から離れたいと思ってもやはり心根の部分では、愛して止まない存在なのだと実感させられました。

1人旅をする前は、自分は何の為に存在していて何をやっているのか?とか小難しいことばかり考えていました。臆病で誰かの目を気にしているくせに、妙に斜に構えてたり。無関心を装っていたり。今は興味のあることには、ハッキリ興味を示し、自分の気持ちに素直に向き合えるようになったと思います。結局心は何も変わってない、でもそれが分かったことが自分の変化だと思います。

現在は、また日常に戻りました。国内フェスへ行き取材をしたり、音楽イベントの企画を進めていたりします。誰かの為に…そんなおこがましい気持ちを忘れて、自分が伝えたいんだ!という気持ちでいます。それがいつか誰かの役にたってくれるといいなと思いながら…。


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