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不揃いな青果物を人気商品に変えた、たった一つのアイデア

デジタルマーケティングチームのデコンストラクション、Lions Liveが連夜開催中の今週は、Cannes Lions2014から、フランスで3番目の規模を誇る小売店「Intermarche」の事例を紹介します。食品廃棄物の削減を目的としたこのキャンペーンには、捨てられるはずだった野菜や果物を飛ぶように売れる商品に変身させたアイデアがありました。

食品廃棄の現状

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形が不恰好で通常捨てられてしまう野菜・果物(以下:ブサイク野菜)を、スーパーで見かけたことはありますか?
ほとんどの方が見たことがないかと思います。
なぜならJA(農業協同組合)さんが野菜や果物の大きさや傷の有無をしっかり管理してくれているからです。

では、スーパーで見かけないブサイク野菜は一体どうなっているのかというと、缶詰化や加工食品に使用される他に、そのまま廃棄されるケースもあります。
勿体無いですよね・・。
これは日本だけではなく、世界中で問題となっている食品廃棄のお話です。

2014年に食品廃棄問題に対し、EUの立法機関である欧州議会が2014年を「ヨーロッパ反食品廃棄物年」としたそうです。
その打ち出しに対し、フランスで有名なスーパーの「Intermarche」が、早々に呼応、ブサイク野菜をあえてスーパーで販売し、世界中に食品廃棄の現状を知ってもらう施策「Inglorious Fruits and Vegetables(不名誉な果物・野菜たち)」を展開し、大きな話題となりました。

こういう取り組みをする事で、お客様から「Intermarche」は地球にも優しい素晴らしいスーパーだ!と思ってもらえますし、「ヨーロッパ反食品廃棄物年」のニュースと一緒に取り上げられやすいのでPR効果も高まる、コミュニケーションデザインが素晴らしいですよね。


フランスで3番目の規模を誇る小売店「Intermarche」の施策

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ブサイク野菜の販売のため、特設コーナーに専用ポスターやポップを用意。
面白いキャッチコピーをつけた野菜と明るい写真のポスターを使い、
まるで新商品のキャンペーンのように生鮮売り場の一番目立つ場所に配置し販売。

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さらに、均一なサイズの整った商品と不揃いの商品(ブサイク野菜)をあえて、隣り合わせに並べて陳列
ブサイク野菜は価格を3割引にして販売しました。

ところが、お客さんは本当に美味しいのかが不安で、反応はイマイチ
そこで「Intermarché」は用意しておいた秘策、「ブサイク食材試食作戦」を開始します。ブサイク食材を使ったスープとジュースを用意し、実際にお客さんに品質の良さ、味を確かめてもらいました。

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多くのお客様が納得し、ブサイク野菜を手に取る人があとを絶たず、商品は早々に在庫完売

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このキャンペーンで、来客数を24%増加、青果物売上10%増加させることに成功。
2日間だけで1.2トンが店頭で販売されました。


単純に安売りされているだけでは、お客様が購入したい!と思えないとわかって、あえて試食品に「Inglorious Fruits and Vegetables(不名誉な果物・野菜たち)」のラベルもつけた状態で準備SNSで拡散されやすい状態にしていて、計画の緻密さを感じました。


結果、計画通り(?)SNS上で評判となった後、新聞やテレビで大きく取り上げられました。
そしてフランス国民含め世界中へ、『食べ物を大切にする』ことについて考えてもらうきっかけとなりました。

このキャンペーンを見て「Intermarché」の競合5社も同様のキャンペーンを開始。
さらに翌年2015年の5月にフランスでは、売れ残った食材や賞味期限切れの食品を、店舗面積が400平方メートルを超えるスーパーマーケットが廃棄処分することを禁じる法律が、国民議会で全会一致で可決されました。

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このキャンペーンが話題となったのは、単純に安く販売するだけではなく、
ネガティブ要素のブサイク野菜をあえて美しく、明るく表現したコミュニケーションデザインがユーザーの目に留まったからでしょう。

キャッチコピーを見ると擬人化した野菜が強気な言葉で語りかけてきていて、とてもユニークです。

[醜い人参]
スープの中に入ってたって誰が気にする?
[ブサイクななす]
もっとブサイクだったらもっと安くなったのにね。

クスッと笑えるキャッチコピーで思わず手に取りたくなります。
野菜の形が規格外だからこそ、逆に可愛く見えて大切に調理したくなりそうですね。
擬人化される事で普段何も考えずに食べている食材に感謝の気持ちが加わるきっかけにもなったのではないでしょうか。

この取り組みからみえること

このキャンペーンには以下2つのポイントがあると思います。

①商品を擬人化し、生きているように見せ、さらにユーザーに体感してもらうことで、商品が持つ価値以上に見せた事
②EUの打ち出しに対し、いち早く時流に乗り、市場のポジショニングを取る施策を大々的に行った事


日本でも、有名なスーパーがこのようなキャンペーンを打ち出す事ができれば、企業イメージアップに繋がるのではないでしょうか。
また、この事例を活かして
アパレル/化粧品/ペット/家電など、新品のまま売れ残りが出る商材を取り扱う業種の在庫廃棄削減となる地球に優しいアイディアが生まれるのではないでしょうか。

7月にはコンビニでもスーパーの袋が有料化されるので、地球に優しい活動は今年更に流行る気がしています。
地球に優しく、企業ブランディングに繋がる、今回の事例のような、「誰もがハッピーになれる施策」を提案できるようになりたいです。

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