芝居の熱量といちご大福
『セメント金魚』という、俳優四人から成る演劇ユニットがある。
富良野塾後輩(7期)の役者、にしやうち良が作・演出を手掛ける。メンバーには同期(5期)のたむらもとこもいて、新作を発表する機会には必ず観に行くことにしている。
みんな芸達者なうえに、世代的にも懐かしい昭和のネタが満載で、小さな小屋でやるにはもったいないくらい面白い。固定ファンもたくさんいるので、昨夜も超満員だった。
演劇はライヴだから、演じ手だけでなく受け手の「熱量」も大切だ。
観終わって、どれだけ自分の「熱」が上がったか。年を取るごとに基礎体温も基礎代謝も低くなっているのを実感するからこそ、熱の上がりかたが満足度に比例する年齢になってきた。
若い頃からよく知る身内のような彼らだから、多少贔屓目になるかもしれないけれど、齢50にして全力で芝居と格闘し、大勢の観客を惹きつける姿を観るだけでも、わたしは胸が熱くなる。だからいつも惜しみない拍手を送る。
昨夜は終演後、集まった仲間で居酒屋へ。
ワイワイ他愛もないことで笑い合い、明日を気にせず遅くまで話し込んだ帰り道。終電に近い電車を待ちながら、頂きものの「いちご大福」をひとつ頬張った。
熱量が高くなると、気持ちも若くなるらしい。
人目もはばからず、ぺろりと食べてしまうなんて。
しかも冷たい雨の降る、深夜のホームで。