Illustratorで着物を描いてみる ③ カラーバリエーションについて語ってみる。
と、いうことで、②ではイラストを作る前の心構えで終わっていたので、本記事からはいよいよ実作業。
上のアウトライン表示状態では、着物の柄がドカンときてなにが何やらですが、邪魔になっているパターンを非表示にしてみるとこんな感じ。
すっきり。
ドカンと視界を覆っていたのはこれ。
胸元のパターン。
この箇所以外の着物のパターンは、
スウォッチを使っています。
選択するとこんな感じ。
カラーパレットの塗りの方に着目。
こんな大柄ですが、これもスウォッチ。
全体として、スウォッチ指定しているのはこのあたり。
もっとわかりやすくすると(アウトライン表示)
こんな感じですね。
時間的に(仕事であれば予算的に)可能であれば、柄の全てにパスを引きたいですが、割愛。
Illustratorで作成する場合、シャープな仕上がりになりますので、本来、着物を描写するとすれば、布の質感、影などが描かれて然りですが、それがイラレで仕上げる際、均一柄になってもなんとなく不自然に映らず、デザイン効果の一端のように落ち着いてくれるのが不思議です。
その感覚に基き、パターンを頻用してみました。
和柄パターンは、商用利用OKで種類豊富なこちらをよく利用しています。
→ 粋屋 さま
基本的な日本の伝統模様がずらりと。
が!
そのままは使いません。
(使えません)
既存のスウォッチをそのまま使って、
イラストの色彩設計とマッチすることはたぶんほぼナイです。
ここで、色彩によりイメージ例。
片方は同じ赤(印刷では金赤と呼ばれる赤。M100Y100)。
それぞれに色を合わせてみました。
Q.それぞれ、どんなイメージを持ちますか?
イメージは人それぞれですから、限定する答えはありませんが、
いわゆる『季節モノ』と言った視覚的な効果を狙う場合、あくまで、ごく一般的に、それとされる色合せがあります。
・ 赤 + 緑 = クリスマス
・ 赤 + ゴールド系 = 正月
・ 赤 + 白 = 歌合戦、もしくはお祝い。運動会もアリ。
といったような。
商業広告では、デザインやイラストに季節感を取り入れることが多く、
イラストのタッチ、モチーフ、そして、色彩設計も、それに準じる必要があります。
と言ってみましたが「そんなことわざわざ言われなくたって脳直でやってるし」多くの方は思うこととでしょう。
はい、ホントその通りです。
が!!
色合せも技術。
色は伝えたいテーマを円滑に表現する
とても効果的なモチーフなのです。
ここでまた例を用いてもう少し説明を。
まず、なぜ、色についてここまでくどく語っているのかと申しますと、アレです。
お仕事で制作していると
「前回分流用で春っぽくしてください」とか「バリエください」ってお話はよくあります。
あと、「もっと春っぽくしてください」とか。
その解決策は、出来るだけモチーフを増やす以外の手段にしたい。
春らしくするのであれば、画面に桜をちらすなど、モチーフを増やせば容易にオーダーに応えられますが、そうすることで、全体のバランスが崩れたり蛇足になったり(新たに作る分、作業がかさんだり…)、いい結果になるとは限りません。
使われる用途によっては生物NGという場合もあります。生鮮を取り扱うリーフとか。
そこでぜひ色彩の法則で打開。
色合せで解決できるならば、とても楽……じゃなくて、有意義に、イメージを伝えることができるかもしれません。
例。
全て同じイラストですが、それぞれかなりイメージが異なります。
「どれが春?」と訊ねられれば、多くの日本人が左下を選ぶでしょう。
色の取り合わせだけで、こんなにもイメージが変わるのです。
どの色と色を使うとどんなイメージになるのか。
相性のいい色はどれだろう、とか。
多くの色を使いたいとき、どう使い分ければいいだろう、とか。
これらの感覚は、場数によって培うことができる〝技術〟です。
ぜひ、様々な色合わせを試してみてください。
……と、いうことで、
またまた長くなってきたので続きは④へ!