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世間に転がる意味不明:手取りを増やすの意味(103万円の壁の不思議)

ちょっと乱暴だが私見として。

■議論のすり替え

現在盛んに「103万円の壁」の話をしている。
「103万円の壁」とは年収が103万円を超えると所得税が発生することから「税の壁」とも言われている。また、扶養控除もこれが上限になる。そのため、パート・アルバイトはこれを越えないように働き方を抑制しようとするので、もっと働けるようにしようというものである。

働きたいと思っても働けないヒトが働きやすいようにするというものであるが、一方でこれを越えて働いている人々もいる。所得税のとれる層が減るので税収が減るという指摘もあり調整している。

しかし、これは議論がおかしい。
なぜなら、元々国民民主党は「手取りを増やす」といっているのであれば、今の働いている状況のまま手取りを増やすと云うことを議論の俎上に載せなければならない。
「手取りを増やす」政策は、

(1)収入を増やす
 最低賃金を上げる政策を推し進める。しかし、これは企業側に人件費負担を増やせと云っていることになる。これについての議論が必要であろうが俎上には登らない。少なくともマスコミでは取り上げない。

(2)出て行くものを減らす
 物価対策や産業育成、関税操作などはあるだろうが、最も簡単な方法は税の軽減であろう。その意味で、所得税の減免は有効であろうが、それは年収の壁を操作することではなく、広く取り過ぎているものを軽減すべきであろう。
 最も有効なのは消費税であろう。消費税は、仕組みも複雑な上に、ガソリン税、酒税、などの税金に対して二重課税になっている。これを整理すべきである。できれば廃止すべきであろう。

(3)補てんする
 政府では今、給付金が議論されているようである。しかし不愉快である。
 そもそも、思いつきの施しのようにお金を配る権利は彼らにはない。法治国家で「ありがたく思え」は不遜であろう。
 もしこれを行なうのであれば、発動条件を定めて制度化すべきである。
 真剣にベーシックインカムを考えて欲しい。今の「生活保護」は運用面で課題が多すぎる。

■例外を設けることの弊害

目的が何かが後ろに隠れ議論が進めば、本質的な問題が別のものにすり替えられる。
「手取りを増やす」は、システム的には、Input(働いている割りには)に対してOutput(生活に余裕が出るほど給与をもらえない)が不十分である事に注目しなければならない。対処療法は問題を見失わせる。

もちろん止血は必要だが根本の問題を解決しなければならない。
それは「税金」の持つ特性であろう。
その特性は、政府は1度手に入れた財源を失わせたくないという欲望があり、税の導入時に実感がわかないように「例外」を設けることであろう。これが問題を複雑化させる。

消費税などはその典型であり、本来事業者が払うべき税金を最終消費者に転嫁できるという枠組みがおかしいし、その税の徴収が難しいからと言って例外的に納税を免除させる仕組みを入れたことがインボイス制度の混乱を招く。

色々批判はあるだろうが、制度を単純化することが必要だろう。
・所得税は例外なくすべて徴収する。
・企業がヒトを雇用したらすべて社会保険の対象とする
・生計の一つにする家族は世帯主以外は一定人数までは扶養家族のみする
 例えば、高齢の父母(60歳以上)、成人(18歳)未満もしくは大学生までの家族のみ
・あるいはそもそも扶養控除は無しとする

三流の政治家が「平等」という名のもとに制度を複雑化することを口にするが、かえって管理コストがかかる。多少の無駄などは目をつむりシンプルにすべきである。

こうしたことを踏まえてグランドデザインを描くべきである。
これがない小手先だけの議論は不毛である。

2024/11/23

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