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世間に転がる意味不明:慌てる必要の無い倒産の報道(必要なら生き残る/必要ないなら退場する) その一
文化という側面は侮れない。
■100年企業と経営理論
ここ数年で読んだ書籍でなるほどと思わせる本と言えば「両利きの経営」と「ジョブ理論」だろうか。企業戦略を考えるうえでは参考になる。
両利きの経営は、既存事業に関しては高度化・深化が必要であり、それだけでは未来を役左側されないので新規事業の探索が必要であると言う趣旨の論であったと思う。ジョブ理論は、「何かを売る」ではなく「顧客の困り事(ジョブ)を解決することが重要であると言う論であったと理解している。
基本原則はそうであるのだが個別論で言えば、なかなか型どおりに行かない。
先日、テレビを見ていたら「金太郎飴 本店」というのが登場した。
○金太郎飴本店の歴史
明治の終わり二代目謙一郎が会得した組飴(絵柄が入った飴)の技術を元に金太郎の顔の入った飴を完成させ「飴の中から金太さんが出たよ」のキャッチフレーズと共に金太郎飴を全国に売り歩き始めました。
昭和22年に正式に金太郎飴本店として株式会社を設立しました。五代目鐵男の頃は技術も向上し昭和50年代頃からは希望の絵柄を飴にする「オリジナル飴」を作るようになり、新郎新婦の顔を飴にした「ブライダル飴」が人気となりました。
120年以上経った今なお職人が手作りで飴を作り続け、登録商標 「金太郎飴」®の暖簾を受け継いでいます。
https://www.kintarou.co.jp/company
市場規模はとても大きくはないだろうし、「飴」は「飴」以上には慣れないから、アイデアはあるにしても「深化」「探索」の両利きの経営の見本にはならないだろう。また、嗜好品もしくはイベント以外の顧客の何かを解決するという視点は持ち得ないから「ジョブ理論」の参考にもならないだろう。
それでも、日本の文化と密接に関わる商品を供給しており、限られた市場の中では確固たる地位を築いていると思う。
企業が努力して生き残る術を模索するのは"理論"とは無縁の世界にいても必然の行為であろう。
■ラーメンの文化とゴーイングコンサーン
昨年当たりから今年にかけて「倒産」が増えているニュースが目につく。特に飲食業、とりわけラーメン店の倒産などが俎上に上がっている。
○「ラーメン店」の倒産動向調査(2024年1-7月)
「ラーメン店」倒産、前年から倍増ペース 過去最多を更新へ~原材料高騰が直撃「ラーメン原価」は2年前から1割増の試算~
2024/08/02
ラーメン店の倒産ペースが加速している。2024年に発生した「ラーメン店」経営事業者の倒産(負債1000万円以上、法的整理)は、7月までに49件発生した。前年(53件)からほぼ倍増、過去最多の2020年(54件)を上回るペースで、初の年間100件台に到達する可能性が出てきた。
https://www.tdb.co.jp/report/industry/ree361393h5l/
しかしこれの何が問題なのだろうか。
企業は、その存続が雇用の不安定さを招くであろうし、投資家に対する責任などから「ゴーイングコンサーン」は目指すべきであろう。しかし、事業の継続が無理であるならば早期に撤退すべきであろうし、感覚的には飲食店は容易に雨後の竹の子よろしく開業しやすい環境にあるだろう。
ラーメンという文化はそうなくならないだろうし。必要であれば店は簡単に開業される。
廃業を嘆くのではなく、すぐに立ち直れるような強靭性を産業に持たすべきであろう。
■強靭性
文化の強靭性は、参入障壁に低さや開業のしやすさの支援であろう。
屋台で提供できる飲食であれば、開業資金は容易に確保できるかもしれない。
当然食品衛生の基準は守られるべきであろうが、遠方に届けられるものではない。簡易的な安全基準で良いかもしれない。
案外こんな所に永続性を担保できる仕掛けがあるかもしれない。
2025/01/23