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世間に転がる意味不明:プランBを真剣に考えよう(船井電機の倒産は青天の霹靂か)

今から20年ほど前だろうか。勤めていた会社が突然倒産し、職を失い呆然としていた知人を思い出す。

■容赦ない企業のリストラ

昨年来から業績不振をリストラで載りきろうというニュースが目につく。
業績不振は経営の失敗、戦略の見通しの甘さであり、企業自身が責任をとらなければならないのだが、従業員に押しつける傾向は強い。

○住友ファーマ、早期退職に604人 構造改革費用54億円
2024年10月30日

住友ファーマは30日、早期退職に604人の応募があったと発表した。業績不振が続く中、コスト削減の一環。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2024103000744

これは一部の企業のことではない。
本来のリストラとは「再構築」の意味で、事業の再編、バリューチェーンの再編などを指し、余剰人員などをどうするのかは付帯する時効にしか過ぎない。それでも、企業にとっては再配置やそのための再教育をすることよりも早期退職を促すことを選択することが多い。

■無法地帯

それでも、一定の常識の範囲だと思っていたのだが、海外はそうではないらしい。

○独VW、10%の賃金削減を従業員に要求 競争力維持へ
2024年10月31日

ドイツの自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は30日、競争力を維持できる唯一の方法だとし、10%の賃金削減を従業員に求めた。

https://jp.reuters.com/markets/world-indices/DLAPCQU4HFOPTFQQBLOGU5JWFA-2024-10-30/

すでに労働組合との約束を反故にしたことはニュースでも聞き及んでいた。海外ではそんなことが許されるのかと驚いたが、上記の記事の「賃金の一律カット」も驚く。「約束が違う」と騒ぎ立てるところだろう。

なんとなく世界が無法地帯に向かっている感がある。

■目の前に突きつけられる「よくない知らせ」

最近では、むやみな整理解雇ではなく秩序あるやり方になっていると信じたい。そうした企業では、退職金の割増しや再就職支援も行なうという。それで慰められるわけではないが準備はできるだろう。

しかし、下記の様な事態は多くの従業員にとっては寝耳の水であろうし、突然海に放りだれた感があると思う。

○船井電機「給料払えません。即時解雇です」 社員が気づけなかった「3つ」の危険信号
2024年10月30日

 10月24日、会社で勤務をしていると午後1時半くらいに社内放送で食堂に集まるように告げられた。そこには弁護士がいて、会社が破産手続きに入ったこと、全員を解雇せざるを得ないこと、翌25日に支給される給料も予定通りに支払われないこと、などの説明を受けたという。

 「ネズミは沈む船を見捨てる」のことわざにもあるように、危機管理能力に長けた人はヤバい組織に早々に見切りをつけ、転職していくものだ。のんびりしていると、今回のように給料をもらえなかったり、失業期間が長引いてしまったりと被害が甚大だ。

https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2410/30/news053.html

■プランB

しかし、倒産の予兆は肌で感じていたはずである。
最初の知人の会社も「給与の遅配」が続いており、なんとなくアブナイと言うことは感じていたという。当事者に分からないはずはない。

公言はされないが業界の人間はそれとなく知っていたと思う。下記の様な記事は後付のように見えるが、すでに既定事実を追いかけているだけであろう。

○突然の破産「船井電機」に起こっていた異変
調査会社が倒産の「Xデー」に目撃した驚きの現場
2024/11/01

東京商工リサーチ(TSR)の調査・取材に基づく、信用調査報告書(TSR REPORT)には、世間にイメージされた船井電機と大きくかけ離れた実像が記載されている。

今夏に作成された報告書の「評点」欄は44点。評点は企業の信用力を表し、100点満点で評価される。家電業界は平均50点程度だが、船井電機はその認知度とかけ離れた低評価だった。

https://toyokeizai.net/articles/-/837532

アブナイと分かっているなら準備を進める必要がある。
漫然と「なんとなく大丈夫」と言うことで何もしなければ、突然沈没船に乗っていたことを気がつくことになる。

その準備は、傾きはじめてからでは遅い。
今この時点でのプランBを策定し、計画を立てて実行すべきである。
そのためにすべきことは、自分のなりたい姿を明確にし、そこに向けてリソースを整えることである。それは、ヒトとして言えば、「知識」「技術」「思考力」である。

知識・技術はもっともベースになる。リスキルは、このプランBを支えるものになる。
漫然と過ごすことなかれ。

2024/11/02

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