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世間に転がる意味不明:二元論の危うさ(トランプのセックスに関する大統領令)

■話し合うとは何か

我々は、自己利益を優先せざるを得ない場合が多く、その過程で紛争や、そこまで行かないとしてもコンフリクトは発生しがちである。その場面で直接の暴力・武力を使えばどうなるかは、先の大戦やロシアのウクライナ侵攻、パレスチナとイスラエルの紛争を見ていれば、大きな犠牲を払っても解決にはほど遠い事態になることを歴史から学ぶべきであろう。

我々は常に限られた情報で判断をする。これは、自分が正しいと思っていることの絶対的な裏付けがないことを示す。我々は常に「自分は間違っているかもしれない」と言うことを自覚すべきである。

そして、それは「相手の言うことには合理的な理由があるかもしれない」ということに対しても自覚すべきである。

自分が正しい、相手が間違っていると言う前提条件は疑うべきである。ではどうするのかと言えば、一つの方法論は「話し合う」べきである。

では「話し合う」とは何か。
最初のステップは手持ちの札をすべて出すことである。
・自分は何を知っていおるのか
・自分は何を優先するのか
その時には「批判」「反論」をしてはならない。
まずは素直に相手を理解することである。
その上で
・自分はどのような状態にしたいのか
・それを阻害する要因(事実)は何か
の相互の意見のすりあわせをする。

前提条件に、「自分が正義であること「「自分は間違っていないこと」を持ち込んではならない。さもないと「話し合い」にならない。

また、相手の論を無視してはならない。「それはあなたの感想でしょう」というふざけた言葉は話し合いを台無しにする。

■二元論の危うさ

世界を単純にコインの裏表のように認識する考え方に二元論がある。
世界は「悪と正義に分けられる」と言うのが一つの例であろう。
二元論の危うさは、世界の複雑さを単純化してしまい、その本質を覆い隠すと言うことが言われている。そしてもう一つは「自分は正義である。反対するモノはすべて悪である」という思考に陥りがちであることである。

「逆らうモノは皆殺しだ」という発想は話し合いは存在せず、威嚇・恫喝・暴力が紛争(コンフリクト)の解決手段になることになる。

「自国第一主義」の延長線上に先の大戦があったことを忘れたのだろうかという不安が生まれる。

今期のトランプ大統領の発言は根拠を示さずに「自分は正しい」ことを前提にしており、これがコンフリクトを生み出し、反対意見を無視し紛争の拡大につながるということに気がつかないのではと感じる。

下記の記事がその典型であろう。

○性別は「男性と女性のみ」、トランプ氏が多様性政策撤廃へ大統領令
2025年1月21日

トランプ米大統領は20日、連邦政府が男性と女性の2つの性別のみを認め、変更はできないとする大統領令を出した。

https://jp.reuters.com/world/us/IOISYYZHL5IRVEUVZAFA4DAACY-2025-01-20/

■男と女の境界線

身体的特徴を持って男性/女性の区別はできたとしても、その容姿は千差万別であり、その容姿で差別することは現代では認められない傾向が強い。行動もきれいに分かれるわけではない。「男のくせに」「女のくせに」という言葉はタブーであろう。

心理的な側面や心の中はもっと複雑である。
心の持ちようで男性/女性を区別することはできない。もっと言えば境界線などはなく、それぞれの心は連続した何かであろう。LGBTですらティピカルな表現にしか過ぎない。

すでに自分の性別に疑問を持っている人々がいる。境界線など無いと言う考えに及ばない軽薄さは、世界を敵か味方かという二元論に陥ることになる。

○ アリアナ・グランデ、“2つの性別のみ”米大統領令を受けて応援メッセージを再投稿「何が起ころうとも、私たちは互いを守り合う」
2025/01/22 14:00

まず、アリアナはAdvocates for Trans Equalityの声明を再投稿した。その声明には、「今日は私たちのコミュニティにとって厳しい日だ。次期政権はトランスジェンダーの人々の生活、医療、尊厳を攻撃することを公約に掲げており、私たちは過激派が次に何をしようとするのかに備えている。何が起ころうとも、私たちは互いを守り合う」と記載されていた。

https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/145631/2

男と女だけではない。二極化した世界は存在し得ない。常に連続性がそこにあり、二元論は議論をしやすいようにした一つの方法論であり真実ではない。

二元論のこだわりすぎると思考を止めかねない。
注意して欲しい。

2025/02/02

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